「瘀血タイプ」~血流だけではない、子宮環境を悪化させる本当の原因とは~
これまで、
・陰虚タイプ
・陽虚タイプ
・脾虚タイプ
・湿熱タイプ
についてお話ししてきました。
今回は、このシリーズ最後となる**「瘀血タイプ」**です。
東洋医学では、「瘀血(おけつ)」とは血液の流れが滞った状態と考えられています。
しかし当院では、瘀血を単なる「血流が悪い状態」とは考えていません。
瘀血とは、
「慢性的な炎症や代謝低下によって、組織の修復がうまく進まなくなった結果として起こる状態」
と考えています。
つまり、瘀血は原因ではなく、身体の中で長期間続いた不調の”結果”として現れることが多いのです。
瘀血タイプの特徴
瘀血タイプでは、次のような症状がよくみられます。
・生理痛が強い
・レバー状の血の塊が出る
・子宮筋腫がある
・子宮内膜症がある
・子宮腺筋症がある
・慢性的な骨盤痛
・肩こりや頭痛が強い
・手足が冷えやすい
・月経前に症状が悪化する
これらは、骨盤内だけでなく、全身の循環や炎症とも深く関係しています。
血流だけでは説明できない瘀血
「血流を良くしましょう」という言葉を耳にすることがあります。
もちろん血流は大切です。
しかし、血液が十分に流れていても、
・炎症が続いている
・細胞を修復する栄養が不足している
・エネルギー不足で組織を再生できない
このような状態では、本当の意味で組織は回復しません。
つまり、
血液は流れていても、修復が進まない状態
これも瘀血の一つの姿だと考えています。
なぜ瘀血が起こるのでしょうか
当院では、多くの瘀血は突然起こるのではなく、次のような流れで進むと考えています。
まず、脾虚によって消化吸収が低下します。
すると、身体に必要な栄養が不足し、肝臓にも負担がかかります。
肝臓の代謝が低下すると、副腎や卵巣で十分なホルモンを作れなくなり、陰虚や陽虚へとつながります。
さらに、血糖コントロールの乱れや慢性炎症が加わると湿熱が生じます。
その状態が長期間続くことで、子宮や卵巣の組織は十分に修復できなくなり、血液循環も悪化して瘀血へと進行していきます。
つまり、
脾虚 → 肝機能低下 → 陰虚・陽虚 → 湿熱 → 瘀血
という流れです。
瘀血だけを改善しようとしても、根本的な原因が残っていれば、再び同じ状態を繰り返してしまいます。
子宮筋腫や子宮内膜症との関係
子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症では、慢性的な炎症や組織の修復異常が関係していると考えられています。
東洋医学では、これらを瘀血として捉えることが多くあります。
当院では、病変そのものだけを見るのではなく、
「なぜ慢性的な炎症が続いているのか」
という背景を大切にしています。
腸内環境や栄養状態、ホルモンバランス、自律神経などを含めて身体全体を整えることが、子宮環境を改善する第一歩になると考えています。
鍼灸で目指すこと
鍼灸というと、「血流を良くする治療」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
もちろん血流改善も大切ですが、それだけではありません。
当院では、
・自律神経を整える
・内臓の働きを高める
・副腎や甲状腺の負担を軽減する
・骨盤内の循環を改善する
・組織が修復しやすい環境を整える
ことを目的に施術を行っています。
身体が本来持つ回復力を引き出すことが、妊娠しやすい身体づくりにつながると考えています。
シリーズのまとめ
今回、妊活患者さんを5つの代謝タイプに分けてご紹介しました。
- 陰虚タイプ:ホルモンを作る力が低下している状態
- 陽虚タイプ:エネルギーを生み出す力が低下している状態
- 脾虚タイプ:栄養を吸収する力が低下している状態
- 湿熱タイプ:血糖コントロールや慢性炎症が関係する状態
- 瘀血タイプ:長期間の代謝異常によって組織修復が滞った状態
実際の臨床では、これらが一つだけ現れることは少なく、多くの方が複数のタイプを併せ持っています。
だからこそ大切なのは、
「今どんな症状があるか」だけではなく、「なぜその状態になったのか」という背景を考えることです。
当院では、卵巣や子宮だけを見るのではなく、
腸・肝臓・副腎・甲状腺・自律神経など、身体全体のつながりを大切にしながら妊娠しやすい身体づくりをサポートしています。
妊活は、身体のどこか一つを治すことではありません。
身体全体の代謝が整った先に、妊娠しやすい環境が育まれていくと、私たちは考えています。
