こんにちは。
最近の臨床で、とても印象に残ることがありました。
6月に入ってから、背中の張りや痛みを訴えて来院される患者さんがとても増えています。
「肩甲骨の間がずっと張る。」
「朝起きると背中が痛い。」
「マッサージを受けてもすぐ戻ってしまう。」
そんなお悩みです。
もちろん、姿勢や筋肉の疲労が原因のこともあります。
しかし、今日来院された患者さんを診ていて、改めて感じたことがありました。
その方は逆流性食道炎があり、食後の胃もたれが続いていました。
さらに過敏性腸症候群もあり、お腹の調子が安定しない状態でした。
背中の筋肉は確かに硬くなっていましたが、私は「背中だけ」が原因ではないと感じました。
背中の張りは胃腸からのサインかもしれない
胃や腸は、自律神経を介して筋肉とも密接につながっています。
胃腸に負担がかかると、その刺激が神経を通じて背中の筋肉へ伝わり、筋肉が緊張することがあります。
そのため、
「背中が張るから背中が悪い」
とは限りません。
実際には胃や腸からのサインとして背中に症状が現れていることもあります。
逆流性食道炎は胃酸が多いだけではない
逆流性食道炎というと、「胃酸が出すぎている病気」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
しかし臨床では、胃酸が十分に分泌されず、食べ物をうまく消化できないことが背景にあるケースも少なくありません。
胃酸には、たんぱく質を分解し、食べ物をしっかり消化する大切な役割があります。
胃酸が不足すると食べ物が胃の中に長く留まり、胃の内圧が高くなります。
その結果、胃の内容物が食道へ逆流しやすくなり、胸やけや違和感につながることがあります。
さらに十分に消化されないまま腸へ送られることで、お腹の張りやガス、過敏性腸症候群の症状が強くなることもあります。
身体は内臓を守ろうとする
臨床では、お腹を触ると胃の周囲やみぞおちが硬くなっている方をよく見かけます。
これは身体が内臓を守ろうとしている反応の一つと考えられます。
西洋医学では、内臓に炎症や強い刺激が加わると、お腹の筋肉が反射的に硬くなる**「筋性防御」**という現象があります。
もちろん病院でみられる急性腹症の筋性防御とは程度が異なりますが、慢性的な胃腸の不調でも、身体は防御反応として腹部や体幹の筋肉を緊張させることがあります。
そして、その緊張はお腹だけでは終わりません。
内臓と背中の筋肉は神経を介してつながっているため、背中の張りや肩甲骨周囲の痛みとして現れることもあります。
この時期は胃腸が疲れやすい
今年の6月は湿度が高く、気温も高い日が続いています。
こうした高温多湿の環境では、自律神経は体温調節のために休みなく働いています。
その影響で胃腸の働きも低下しやすくなります。
東洋医学では、このような状態を「湿邪(しつじゃ)」や「湿熱(しつねつ)」と考えます。
実際に最近は、
・食欲が落ちた
・胃がもたれる
・お腹が張る
・軟便になりやすい
という方が本当に増えています。
そして、その胃腸の疲れが背中の張りとして現れている方も少なくありません。
最近感じること
背中が張ると、「筋肉が悪い」と考えてしまいがちです。
もちろん筋肉への治療も大切です。
しかし、何度も繰り返す背中の張りには、その背景に胃腸や自律神経の疲れが隠れていることがあります。
最近の臨床では、背中を治療するだけではなく、お腹の状態や胃腸の働きまで整えることで、「背中が軽くなった」「呼吸がしやすくなった」とおっしゃる患者さんを多く経験しています。
身体は一つひとつの臓器や筋肉が別々に働いているのではなく、お互いに影響し合いながらバランスを保っています。
背中の張りも、身体が送ってくれている大切なメッセージなのかもしれません。
