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「脾虚タイプ」~妊活で最も大切なのは、卵巣よりも『腸』かもしれません~

これまで、

・陰虚タイプ(ホルモンを作る力の低下)

・陽虚タイプ(代謝エネルギーの低下)

についてお話ししてきました。

今回は、当院が最も重要だと考えている**「脾虚タイプ」**についてお伝えします。

実は、当院では妊活がうまくいかない方の多くに、この脾虚が関係していると考えています。

東洋医学でいう「脾」は、現在の医学でいう胃や腸、膵臓などの消化・吸収・代謝に関わる働きを含んだ概念です。

つまり脾虚とは、

「食べたものを身体の栄養に変える力が低下している状態」

を意味します。

どれほど良い食事をしていても、どれほど高価なサプリメントを飲んでいても、吸収できなければ身体は変わりません。

妊娠に必要なホルモンも、卵子も、子宮内膜も、すべては毎日の食事から作られています。

だからこそ、当院では妊活の土台は「腸」にあると考えています。


脾虚タイプの特徴

このタイプでは、消化吸収能力が低下しているため、次のような症状がよくみられます。

・食後に眠くなる

・お腹が張る

・ガスが多い

・便秘と下痢を繰り返す

・胃もたれしやすい

・甘いものが欲しくなる

・疲れやすい

・風邪をひきやすい

一見すると腸だけの問題に思えますが、実際には全身の栄養状態に大きく影響しています。


血液データから見えてくる脾虚

脾虚タイプでは、

・BUNが低い

・総蛋白が低め

・アルブミンが低め

・フェリチンが低い

・亜鉛不足

・ビタミンB群不足を疑う所見

などがみられることがあります。

もちろん、数値だけで判断することはありません。

食事内容や症状、舌やお腹の状態などを総合的にみることが大切です。


腸が乱れると、なぜ妊活に影響するのでしょうか?

腸は栄養を吸収するだけではありません。

身体の中へ「何を入れ、何を入れないか」を決める重要なバリアでもあります。

しかし、腸粘膜の状態が悪くなると、本来は吸収されるべきではない未消化のたんぱく質や細菌由来の物質が腸壁を通過しやすくなります。

これらは門脈を通って肝臓へ運ばれます。

すると肝臓は、本来行うべき糖代謝や脂質代謝よりも、「解毒」や「炎症への対応」を優先せざるを得なくなります。

その結果、肝臓は疲弊し、代謝機能が徐々に低下していきます。


脾虚から陰虚へ

当院では、

脾虚が続くことで陰虚が起こる

と考えています。

消化吸収が低下すると、

・たんぱく質

・糖質

・鉄

・ビタミンB群

・亜鉛

・ビタミンC

など、ホルモンを作るために必要な材料が不足します。

さらに肝臓の働きも低下するため、

副腎や卵巣が十分にホルモンを作れなくなります。

つまり、

脾虚が長く続くことで陰虚へ移行する

という流れです。


カンジダや腸内環境との関係

当院では、脾虚の背景に腸内環境の乱れ、とくにカンジダ菌の増殖が関係しているケースも少なくないと考えています。

腸内環境が乱れると、

・糖質代謝の低下

・腸粘膜の炎症

・栄養吸収の低下

・免疫バランスの乱れ

などが起こりやすくなります。

その結果、慢性的な疲労やホルモンバランスの乱れにつながることがあります。

もちろん、すべての方にカンジダが関係するわけではありませんが、症状や経過から総合的に判断することが大切です。


脾虚を改善するために

当院では、脾虚タイプの方には「たくさん食べましょう」とはお伝えしません。

まずは、

・胃腸に負担をかけすぎない食事

・よく噛んで食べる

・必要な糖質をしっかり摂る

・良質なたんぱく質を毎食取り入れる

・腸内環境を整える

・炎症を抑え、腸粘膜を回復させる

・鍼灸で胃腸や自律神経の働きを整える

こうした積み重ねによって、「吸収できる身体」を目指します。


妊活は「栄養を入れること」よりも「栄養を使える身体を作ること」

妊活では、「何を食べるか」が注目されることが多いですが、それ以上に大切なのは、

食べた栄養をきちんと吸収し、代謝できる身体になっているか

ということです。

腸が整えば、肝臓が働きやすくなります。

肝臓が働けば、副腎や甲状腺、卵巣も本来の力を発揮しやすくなります。

だからこそ当院では、妊活のスタート地点は卵巣ではなく「腸」であると考えています。


次回予告

次回は、「湿熱タイプ」について解説します。

血糖値やインスリン抵抗性、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)との関係、そして東洋医学でいう「湿熱」がどのように排卵やホルモンバランスへ影響するのかを詳しくお伝えします。

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