血血虚改善の正しい順番|いきなり栄養を増やしてはいけない理由
血虚を改善しようとして、
「鉄分を増やしてみよう」
「タンパク質をもっと摂ろう」
「サプリメントを追加しよう」
と考える方は多いと思います。
もちろん、身体に不足している栄養を補うことは大切です。
しかし実際には、栄養を増やしてもなかなか体調が変わらなかったり、反対に胃もたれやお腹の張りなどの不調が出たりすることがあります。
なぜでしょうか。
血虚改善で大切なのは、単純に「何を摂るか」だけではありません。
とても重要なのが「身体を整える順番」です。
今回は、当院が血虚の体質改善で大切にしている、
気(エネルギー)
↓
胃腸(消化)
↓
腸(吸収)
↓
血(栄養)
という考え方について解説します。
血虚そのものについて、症状・原因・改善方法などを全体的に知りたい方は、まずこちらをご覧ください。
→ 血虚とは?症状・原因・改善方法を東洋医学からわかりやすく解説
血虚改善でよくある失敗
血虚という言葉を知ると、
・鉄分を増やす
・タンパク質を増やす
・肉や魚を増やす
・サプリメントを増やす
といった「足りないものを補う」という対策を考えやすくなります。
ところが実際には、
「いろいろ摂っているのに変化がない」
「以前より胃が重くなった」
「お腹が張るようになった」
ということもあります。
これは栄養そのものが悪いのではありません。
問題は、
身体がまだその栄養を処理できる状態になっていない
可能性があることです。
血は食べただけでは作られない
身体を養うためには、食べ物を口に入れるだけでは十分ではありません。
食事
↓
消化
↓
吸収
↓
身体で利用する
↓
身体を養う
という一連の流れが必要です。
そのため、
「栄養を摂っている=身体に栄養が届いている」
とは限りません。
例えば胃腸が弱っていれば十分に消化できません。
腸内環境が乱れていれば、その先の吸収にも影響する可能性があります。
さらに、そもそも身体を動かすエネルギーが不足していれば、消化そのものにも影響します。
血虚と胃腸・栄養の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
血虚改善の正しい順番
ここからがこの記事で最もお伝えしたいところです。
すべての方がまったく同じ順番になるわけではありませんが、血虚がなかなか改善しない方を見るとき、当院では大きく4つの段階を考えます。
ステップ① 気|まず身体を動かすエネルギーを確認する
最初に確認したいのが「気」です。
東洋医学でいう気虚は、身体を動かすためのエネルギーが不足している状態です。
例えば、
・疲れやすい
・朝から身体がだるい
・食後に強く眠くなる
・動くのがおっくう
・食事量が少ない
といった状態がみられます。
この段階では、血を増やすことよりも、身体を動かすためのエネルギーが足りているかを見ることが重要です。
特に食事量や糖質を極端に減らしている方では、身体を維持するためのエネルギーそのものが不足している場合があります。
エネルギーが不足した状態では、胃腸を働かせることにも負担がかかります。
つまり、
血を作る前に、まず身体を動かせる状態を作る。
ここが第一段階です。
気虚と血虚の違いについてはこちらの記事をご覧ください。
ステップ② 胃腸|消化できる身体を作る
次に確認するのが「消化」です。
いくら良い食事を摂っても、食べ物を十分に分解できなければ、その先の吸収につながりません。
例えば、
・食後に胃が重い
・少量でお腹いっぱいになる
・食欲にムラがある
・肉や脂っこいものを食べると胃がもたれる
・食後にお腹が張る
といった症状がある場合には、栄養を増やす前に胃腸の状態を見る必要があります。
現代的には、胃酸や消化酵素などさまざまな働きが消化に関係しています。
東洋医学では、この「食べたものを身体に必要なものへ変えていく働き」を脾胃の働きとして捉えます。
入れる前に、処理できる状態を作る。
これが第二段階です。
ステップ③ 腸|吸収できる状態を整える
胃で消化されたものは、その後、腸で吸収されます。
そのため、
・便秘
・下痢や軟便
・お腹の張り
・ガスが多い
・食べ物によってお腹の状態が大きく変わる
といった症状がある場合には、腸内環境も確認します。
食事内容を良くしても、腸の状態が整っていなければ、身体が十分に利用できないことがあります。
血虚改善では「何を食べるか」ばかりが注目されますが、
身体の入口である胃腸を整えることも同じくらい重要です。
血虚と腸内環境の関係についてはこちらをご覧ください。
ステップ④ 血|ここで栄養が活きてくる
気(エネルギー)があり、
胃腸で消化でき、
腸から吸収できる。
この土台が整ってくることで、ようやく食事や栄養を身体が利用しやすくなります。
そこで、
・鉄
・タンパク質
・ビタミン
・ミネラル
など、その方に必要な栄養を考えていきます。
もちろん、明らかな栄養不足がある場合に、すべての段階が整うまで栄養を補ってはいけないという意味ではありません。
大切なのは、
栄養を補うことだけを血虚改善にしないことです。
「何が不足しているのか」と同時に、
「それを身体が利用できる状態なのか」
を見る必要があります。
臨床では「どの段階にいるのか」を見る
実際には、人によって問題が起きている場所が違います。
例えば、
食後に強く眠くなる
食事量やエネルギー状態、血糖の変動、気虚などを含めて考えます。
食後に胃が重い
消化機能の状態を確認します。
下痢・便秘・膨満感がある
腸内環境を含めて考えます。
肌や髪、爪の状態が変わっている
身体を養う栄養が十分に届いているか、血虚の状態を確認します。
このように症状は、身体のどこで流れが滞っているのかを考えるヒントになります。
ただし、一つの症状だけで体質や原因を判断することはできません。
食事、睡眠、胃腸、便通、月経、自律神経などを総合的に見ていく必要があります。
血虚改善は一段ずつ進める
身体は、
「胃腸だけ」
「腸だけ」
「血だけ」
と別々に働いているわけではありません。
気が整えば胃腸が働きやすくなり、
胃腸が整えば栄養を受け取りやすくなり、
栄養を利用できるようになることで、肌や髪、疲れ方などにも変化が現れてきます。
だからこそ、体質改善では現在の身体に必要な段階から一つずつ進めることが大切です。
血虚体質を食事や吸収力などから総合的に整えていく考え方はこちらでも解説しています。
→ 血虚体質の改善方法|食事・吸収力・順番で変わる体質改善の本質
当院が大切にしているのは「補う前の身体」
血虚では「何を摂ればよいですか?」という質問を受けることがあります。
しかし、はり灸院あずでは、
何を入れるかよりも、まずその人の身体がどこまで受け取れる状態なのか
を大切にしています。
食事量が足りない方。
胃腸が弱っている方。
腸内環境から整える必要がある方。
すでに土台が整っていて、栄養を補う段階にいる方。
同じ「血虚」でも必要な対応は異なります。
だからこそ体質名だけで判断せず、現在の身体がどの段階にあるのかを見ながら、鍼灸、食事、栄養、生活習慣などを組み合わせていきます。
まとめ|血虚改善は「入れる」より「整える」
血虚改善で重要なのは、
不足している栄養をただ増やすことではありません。
基本となる流れは、
① 気(エネルギー)
↓
② 胃腸(消化)
↓
③ 腸(吸収)
↓
④ 血(栄養)
です。
鉄やタンパク質などの栄養は大切です。
しかし、それを身体が処理できなければ十分に活かすことはできません。
だからこそ、
「何を入れるか」だけではなく、「入れたものを使える身体になっているか」を考える。
これが血虚改善で大切にしたい考え方です。
血虚について、症状・原因・胃腸・改善方法など全体像から知りたい方はこちらをご覧ください。
