血虚と腸内環境の関係
「血虚」と聞くと、
「血が足りないなら、鉄分を摂ればいい」
と思う方も多いかもしれません。
もちろん、鉄をはじめとした栄養素は血を作るために必要です。
しかし、実際には鉄やタンパク質などを意識して摂っていても、
「なかなか疲れが取れない」
「めまいや立ちくらみがある」
「肌や髪の乾燥が改善しない」
という方がいます。
なぜでしょうか。
その理由の一つとして考えておきたいのが、胃腸や腸内環境の状態です。
血虚について症状・原因・改善方法をまとめて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
→ 血虚とは?症状・原因・改善方法を東洋医学からわかりやすく解説
血は「食べたもの」から作られる
東洋医学では、血を作るために**脾胃(ひい)**の働きをとても大切にします。
脾胃とは、西洋医学でいう胃や脾臓そのものではなく、食べたものを消化し、身体に必要なものへ変えていく働きを含んだ東洋医学的な考え方です。
つまり、
食べる
↓
消化する
↓
吸収する
↓
身体に必要なものへ変える
↓
気や血を作る
という流れです。
そのため、血虚だからといって「血になるもの」を食べるだけでは十分とは限りません。
食べたものから血を作れる身体になっているか
ということが重要になります。
この部分については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
腸内環境が悪いと「血」が作れない
食べ物から摂った栄養は、食べただけで身体の栄養になるわけではありません。
口の中で噛み、唾液と混ざり、胃や小腸で消化され、最終的に必要な栄養素が腸から吸収されます。
鉄、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど、血を作るために必要な栄養素も、この消化・吸収という過程を経て身体の中で利用されます。
そのため、
・お腹が張りやすい
・ガスが多い
・便秘や下痢を繰り返す
・食べると胃腸が疲れる
・食事量を増やすと調子が悪くなる
といった胃腸症状が続いている場合には、栄養を増やすことだけではなく、消化・吸収する側の状態も考える必要があります。
もちろん、便秘やお腹の張りがあるからといって、必ず栄養を吸収できていないということではありません。
ただし、血虚がなかなか改善せず、同時に胃腸症状も続いているのであれば、腸内環境は確認しておきたいポイントの一つです。
腸が乱れるとメンタルも不安定になる
腸と脳は、それぞれ独立して働いているわけではありません。
自律神経やホルモン、免疫などを介して、お互いに影響し合っています。
強いストレスが続くと、お腹が痛くなったり、便秘や下痢になったりする方がいる一方で、胃腸の調子が悪いときに気分まで落ち込みやすくなる方もいます。
血虚でも、
・眠りが浅い
・夢をよく見る
・不安になりやすい
・落ち着かない
といった精神的な症状がみられることがあります。
東洋医学では、血には身体を養うだけでなく、精神活動を安定させる働きもあると考えるためです。
そのため、血虚があり、さらに腸内環境も乱れている方では、身体の疲労だけではなく、睡眠や精神面の不調が重なって現れることがあります。
春は「肝」と「血」が乱れやすい季節
東洋医学では、春は「肝」と関係の深い季節と考えられています。
東洋医学でいう肝には、血を蓄え、必要に応じて身体へ巡らせる働きがあると考えます。
また、肝は気の流れとも深く関係しています。
春は寒暖差が大きく、生活環境の変化なども起こりやすい季節です。
そのため、
「いつもより疲れる」
「眠りが浅い」
「イライラする」
「めまいやふらつきが気になる」
といった症状が出やすくなる方もいます。
もともと血虚がある方では、こうした季節の変化によって症状を感じやすくなることがあります。
大切なのは、春だから肝だけを整えればよいということではなく、血を作る脾胃と、血を蓄え巡らせる肝の両方を見ることです。
血虚の改善は「腸から」
血虚を改善するとき、
「鉄を増やそう」
「タンパク質をもっと食べよう」
と、栄養を追加することから始める方は少なくありません。
しかし、胃腸や腸内環境が乱れている状態では、せっかく摂った栄養を十分に活かせないことがあります。
そのため、血虚があり、
・食後にお腹が張る
・便通が安定しない
・胃腸が弱い
・食事量を増やせない
といった症状がある方では、まず胃腸や腸内環境を整えることが大切です。
ただし、すべての血虚が「腸から改善すればよい」というわけではありません。
食事量そのものが不足している方もいれば、慢性的なストレスや月経などによる消耗が大きい方もいます。
そのため、なぜ血虚になっているのかを確認したうえで、今の身体に必要な順番で整えていくことが重要です。
→ 血虚改善の正しい順番|いきなり栄養を増やしてはいけない理由
まとめ
血虚を改善するためには、鉄やタンパク質など、血を作るための材料を摂ることは大切です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
食べたものを消化し、吸収し、身体の中で利用できて初めて、身体を養うことにつながります。
特に、
「栄養には気をつけているのに血虚の症状が改善しない」
という方では、胃腸や腸内環境に目を向けてみることも大切です。
東洋医学では、血を作るためには「脾胃」、血を蓄え巡らせるためには「肝」というように、身体全体のつながりをみながら考えていきます。
血虚だから血だけを見るのではなく、血を作り、身体を養える状態になっているかを見る。
これが血虚を改善していくうえで大切な考え方です。
血虚の症状・原因・改善方法について全体的に知りたい方はこちらをご覧ください。
