「疲れやすいから気虚なのかな?」
東洋医学について調べていると、このように考える方も多いと思います。
しかし実際には、気虚(ききょ)と血虚(けっきょ)は似た症状があり、両方が重なっていることも少なくありません。
特に「疲れやすい」という症状だけでは、気虚なのか血虚なのか判断するのは難しいものです。
大切なのは症状だけではなく、
なぜその症状が起きているのか
という身体の背景を見ることです。
今回は、気虚と血虚の違いと、身体に現れやすい特徴について解説します。
血虚について症状・原因・改善方法まで全体的に知りたい方は、こちらの記事からご覧ください。
→ 血虚とは?症状・原因・改善方法を東洋医学からわかりやすく解説
気虚と血虚の本質的な違い
まず、それぞれの特徴を整理してみましょう。
■ 気虚とは
気虚は、簡単にいうと身体を動かすエネルギーが不足している状態です。
東洋医学でいう「気」には、身体を動かしたり、内臓を働かせたり、身体を守ったりする働きがあると考えます。
そのため気が不足すると、
・身体がだるい
・疲れやすい
・やる気が出ない
・食後に眠くなる
・息切れしやすい
・声に力がない
といった症状が現れやすくなります。
→気虚とは?疲れやすい原因を東洋医学で解説
■ 血虚とは
血虚は、身体を養う「血」が不足している状態です。
東洋医学でいう血は、単に血液だけを意味するものではありません。
肌や髪、目、筋肉、脳などに栄養を届け、身体を養う働きを含めて「血」と考えます。
そのため血が不足すると、
・めまい、立ちくらみ
・目が疲れやすい
・眠りが浅い
・肌が乾燥する
・髪が細くなる、抜けやすい
・月経量が少ない
などの症状が現れることがあります。
気虚と血虚の症状の違い
大まかに分けると、
気虚=身体を動かす力が足りない
血虚=身体を養い、満たすものが足りない
という違いがあります。
気虚では、
「何もしていないのに疲れている」
「動き始めること自体がつらい」
という感覚が出やすくなります。
一方、血虚では、
「動くことはできるけれど、動くとフラフラする」
「疲れてくると目や頭、神経系に症状が出てくる」
といった特徴がみられることがあります。
ただし、実際にはこの二つがきれいに分かれるとは限りません。
血虚の具体的な症状を確認したい方はこちらも参考にしてください。
見分けるポイントは「動けない」のか「動くとつらい」のか
臨床で身体の状態を見るとき、一つの目安になるのが、
「動けない」のか「動くとつらい」のか
という違いです。
例えば、
・身体が重く、そもそも動く気力がない
→ 気虚の傾向
・動けるけれど、動いているとフラフラする
→ 血虚の傾向
と考えることができます。
もちろん、これだけですべてを判断することはできません。
食欲、胃腸の状態、睡眠、月経、肌や髪の状態、自律神経の状態などを合わせて見ていく必要があります。
実際には「気虚+血虚」が多い
気虚と血虚は、まったく別々に存在するとは限りません。
むしろ臨床では、気虚と血虚が同時に存在しているケースもよくみられます。
なぜなら、東洋医学では食事から「気」と「血」を作り出すために、胃腸(脾胃)の働きが重要だと考えるからです。
例えば、
気虚
↓
胃腸を働かせる力が低下する
↓
食べたものを十分に消化・吸収できない
↓
身体を養う材料を十分に利用できない
↓
血虚
という流れです。
つまり、
最初は気虚だったものが、長く続くことで血虚につながっていく
ということも考えられます。
血虚なのに栄養を摂っても改善しない理由
「血虚なら鉄やタンパク質などの栄養を増やせばいい」
と思われるかもしれません。
しかし、ここに血虚改善の難しさがあります。
例えば胃腸の働きが低下している状態で栄養をたくさん摂っても、
・消化できない
・吸収できない
・胃もたれする
・お腹が張る
ということが起こる場合があります。
つまり、栄養が足りないことと、栄養を摂っていないことは同じではありません。
食べていても身体が利用できていなければ、結果として身体を十分に養えないことがあります。
血虚と胃腸・栄養の関係についてはこちらで詳しく解説しています。
気虚と血虚では改善の順番も重要
気虚と血虚が同時にある場合、単純に「血を補う」だけでは十分ではないことがあります。
血を養うためには、まず食べ物を消化・吸収し、身体の中で利用できる状態が必要だからです。
そのため、
身体を動かすエネルギー
↓
胃腸・消化吸収
↓
身体を養う栄養
↓
血を作り、身体を満たす
という流れを考えます。
身体の土台が整っていないところに、いきなり多くの栄養を入れるのではなく、その人が今どの段階にいるのかを見極めることが大切です。
血虚を改善するときの考え方についてはこちらをご覧ください。
→ 血虚改善の正しい順番|いきなり栄養を増やしてはいけない理由
女性は血虚が重なりやすい
女性の場合は月経があるため、気虚に血虚が重なっているケースも少なくありません。
例えば、
もともと胃腸が弱い
↓
食事から十分な栄養を利用できない
↓
さらに毎月の月経で血液を失う
↓
血虚の症状が強くなる
ということがあります。
そのため、
・月経量が多い
・月経後に強く疲れる
・めまいや立ちくらみがある
・髪や肌の状態が変わってきた
・眠りが浅い
といった症状がある場合には、単純な疲労として考えず、血虚という視点から身体を見ることも必要です。
妊活においても血虚は重要な体質の一つです。
当院では「体質名」だけで判断しません
はり灸院あずでは、
「あなたは気虚です」
「あなたは血虚です」
という体質名だけで身体を見ることはしていません。
同じ血虚でも、
・食事量そのものが不足している
・胃腸機能が低下している
・腸内環境に問題がある
・月経による消耗が大きい
・睡眠不足が続いている
・ストレスによる消耗が強い
など、背景は人によって異なります。
大切なのは、現在の体質だけではなく、その体質になった原因や過程を見ることです。
鍼灸による身体へのアプローチと、食事や栄養、生活習慣などを組み合わせながら、その方に必要な順番を考えていきます。
まとめ|気虚と血虚は「どちらか一つ」とは限らない
気虚と血虚を簡単に整理すると、
気虚=身体を動かす力の不足
血虚=身体を養い、満たす力の不足
と考えることができます。
しかし実際には、
気虚
↓
胃腸・消化吸収力の低下
↓
身体を養う材料が不足する
↓
血虚
というように、二つの体質がつながっていることがあります。
そのため「疲れやすいから気虚」「めまいがあるから血虚」と症状だけで判断するのではなく、なぜ現在の身体の状態になっているのかを考えることが大切です。
血虚について、症状・原因・胃腸・改善方法・妊活などをまとめて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
