血糖・中性脂肪・甲状腺・ホルモン・東洋医学を統合した見方
妊活のご相談を受けていると、
「AMHが低いと言われました」
「FSHが高くなっています」
「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)があります」
「ホルモン値は問題ないのに妊娠しません」
といったお悩みを耳にすることがあります。
しかし、同じ診断名や検査結果であっても、その背景にある原因は人によって異なります。
例えば、同じ排卵障害でも、
- 栄養が吸収できていない人
- 血糖コントロールが乱れている人
- 甲状腺機能が低下している人
- 慢性的な炎症が続いている人
では、身体の状態はまったく違います。
そのため当院では、
「卵巣だけを見るのではなく、身体全体の代謝を見る」
という考え方を大切にしています。
卵巣や子宮は単独で働いているわけではありません。
腸で栄養を吸収し、肝臓で代謝し、副腎や甲状腺がホルモンを調整し、その結果として卵巣が働いています。
つまり、妊娠しやすい身体づくりには、卵巣だけでなく全身の代謝状態を把握することが重要です。
当院では妊活患者さんを大きく5つの代謝タイプに分類し、身体の状態を整理しています。
① 陰虚タイプ
「ホルモンを作る力が不足しているタイプ」
このタイプは、一見やせ型で健康そうに見えることもありますが、身体の中ではエネルギーやホルモンを作る余力が不足しています。
よくみられる症状
- 疲れやすい
- 寝ても疲れが取れない
- 不眠傾向
- 生理量が少ない
- 高温期が短い
- 肌や粘膜が乾燥しやすい
血液データの特徴
- 中性脂肪が低い
- フェリチンが低い
- LDLコレステロールが低い
- 空腹時血糖が低め
東洋医学的な見方
- 腎陰虚
- 肝血虚
背景にあるもの
副腎や肝臓の働きが低下し、ホルモンを十分に作れなくなっている状態です。
当院では陰虚の背景に肝機能低下や栄養不足が隠れていることが多いと考えています。
② 陽虚タイプ
「代謝エンジンが弱っているタイプ」
身体を動かすエネルギーそのものが不足している状態です。
よくみられる症状
- 冷え
- むくみ
- 朝起きられない
- 低体温
- 慢性的な倦怠感
血液データの特徴
- TSH高値
- FT3低値
- 中性脂肪低値〜正常
東洋医学的な見方
- 脾腎陽虚
背景にあるもの
甲状腺機能の低下やエネルギー産生の低下が関係していることが多くあります。
当院では、糖質不足や慢性的な栄養不足によって代謝が落ちているケースをよく見かけます。
③ 脾虚タイプ
「栄養を吸収できていないタイプ」
妊活において見落とされやすいのがこのタイプです。
どれだけ良い食事やサプリメントを摂っても、吸収できなければ身体は変わりません。
よくみられる症状
- お腹が張る
- ガスが多い
- 下痢や便秘を繰り返す
- 甘いものが欲しくなる
- 食後に眠くなる
血液データの特徴
- 総蛋白低値
- BUN低値
- 鉄不足
- ミネラル不足
東洋医学的な見方
- 脾虚
- 気虚
背景にあるもの
消化吸収機能の低下や腸内環境の乱れが関係しています。
当院では、脾虚が妊活の土台部分にあるケースが非常に多いと感じています。
④ 湿熱タイプ
「血糖コントロールが乱れているタイプ」
現代の妊活で増えているタイプです。
よくみられる症状
- ニキビ
- むくみ
- 月経不順
- 体重増加
- 多毛傾向
血液データの特徴
- 中性脂肪高値
- HDL低値
- インスリン抵抗性
ホルモンの特徴
- LH高値
- AMH高値
東洋医学的な見方
- 湿熱
- 痰湿
背景にあるもの
血糖コントロールの乱れやインスリン抵抗性が関係しています。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方に多くみられるタイプです。
⑤ 瘀血タイプ
「慢性的な炎症と循環不良があるタイプ」
骨盤内の血流や組織環境が悪化している状態です。
よくみられる症状
- 生理痛
- レバー状の血塊
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 子宮腺筋症
血液データの特徴
- 慢性炎症所見
- 鉄代謝異常
東洋医学的な見方
- 瘀血
背景にあるもの
慢性的な炎症や血流低下によって、子宮や卵巣の環境が悪化している状態です。
実際には「複合型」がほとんど
ここまで5つのタイプをご紹介しましたが、実際の臨床では一つだけに当てはまる方は少なく、多くの方が複数のタイプを併せ持っています。
例えば、
- 脾虚 → 陰虚 → 瘀血
- 脾虚 → 湿熱 → PCOS
- 陰虚 → 陽虚 → 排卵障害
といった流れです。
大切なのは、
「今どのタイプなのか」ではなく、どこから始まったのかを見極めること。
当院では、
- 腸(脾)
- 肝臓
- 副腎
- 甲状腺
といった身体の土台を整えながら、妊娠しやすい身体づくりをサポートしています。
次回からは、それぞれの代謝タイプについて詳しく解説していきます。
