~妊活・生理不順・更年期症状の背景にある「腸」の重要性~
妊活や生理不順、更年期症状のご相談を受けていると、
「ホルモンの数値が低い」
「エストロゲンが少ない」
「プロゲステロンが不足している」
といったお話をよく耳にします。
もちろんホルモンは非常に大切です。
しかし当院では、
「なぜホルモンが不足してしまったのか?」
という視点を大切にしています。
ホルモンの問題を考える際、多くの場合は卵巣や子宮、副腎や甲状腺に注目します。
しかし実は、その前段階として見落とされやすいのが「腸」です。
今回は、なぜ腸が乱れるとホルモンバランスまで乱れてしまうのかについてお話しします。
ホルモンは材料がなければ作れない
女性ホルモンに限らず、体内で作られるホルモンには材料が必要です。
例えば、
- アミノ酸(たんぱく質)
- ビタミンB群
- 亜鉛
- 鉄
- マグネシウム
- コレステロール
- 糖質
などです。
ホルモンは魔法のように作られるわけではありません。
食べたものを消化・吸収し、それを材料として体が合成しています。
つまり、
「何を食べるか」も大切ですが、それ以上に「きちんと吸収できているか」が重要です。
そして、その吸収を担っているのが腸です。
良いものを食べても吸収できなければ意味がない
妊活中の方や体質改善を頑張っている方ほど、
- 良質なたんぱく質
- ビタミン剤
- ミネラルサプリ
- 発酵食品
などを意識して摂取されています。
しかし、
- 胃酸が少ない
- 消化力が弱い
- 腸粘膜が荒れている
- 腸内環境が乱れている
という状態では、せっかく摂取した栄養も十分に吸収できません。
特に女性の場合、
鉄や亜鉛不足は珍しくありません。
鉄は卵胞発育やエネルギー産生に関わり、
亜鉛はホルモン合成や細胞分裂に欠かせない栄養素です。
またビタミンB群は副腎や肝臓の働きにも深く関与しています。
腸が弱ることでこれらの栄養不足が起こり、
結果としてホルモン分泌にも影響が出てくるのです。
東洋医学で考える「脾虚」
東洋医学では消化吸収の働きを「脾」が担うと考えます。
脾の働きが低下した状態を「脾虚」と呼びます。
脾虚になると、
- 疲れやすい
- 食後に眠くなる
- 胃腸が弱い
- むくみやすい
- 集中力が続かない
- 甘いものが欲しくなる
といった症状が現れやすくなります。
当院では、
こうした脾虚の状態が続くと十分な栄養を取り込めなくなり、
ホルモンを作る材料不足につながると考えています。
腸の状態は肝臓にも影響する
さらに重要なのが、
腸と肝臓は密接につながっている
という点です。
腸で吸収された栄養は肝門脈という血管を通り、まず肝臓へ送られます。
もし腸粘膜が荒れていると、
未消化物や炎症性物質が肝臓へ流れ込みやすくなります。
すると肝臓は本来の仕事以上に負担を抱えることになります。
肝臓は、
- ホルモン代謝
- 解毒
- エネルギー代謝
- ビタミンやミネラルの貯蔵
などを担っています。
つまり、
腸の状態が悪い
↓
肝臓に負担がかかる
↓
ホルモン代謝が低下する
という流れが起こる可能性があります。
当院が腸を重視する理由
妊活や体質改善というと、
どうしても子宮や卵巣ばかりに目が向きがちです。
しかし卵巣も子宮も、体の一部です。
その働きを支えているのは、
- 消化吸収
- エネルギー産生
- 肝臓機能
- 自律神経
といった全身の機能です。
当院では、
ホルモンを「増やす」ことだけを目標にするのではなく、
ホルモンが自然に作られやすい体の土台づくり
を大切にしています。
その土台となるのが腸です。
まとめ
ホルモンバランスの乱れは、必ずしも卵巣だけの問題ではありません。
その背景には、
- 消化吸収力の低下
- 栄養不足
- 腸内環境の乱れ
- 肝臓への負担
が隠れていることがあります。
東洋医学ではこれらを「脾虚」や「肝の失調」として捉えます。
妊活や生理不順、更年期症状でお悩みの方は、
ホルモンの数値だけでなく、
「腸がきちんと働けているか?」
という視点を持つことも大切です。
当院では、子宮や卵巣だけを見るのではなく、腸・肝臓・自律神経を含めた全身のバランスを整えることで、体が本来持つ力を引き出すお手伝いをしています。
次回予告
「腸と肝臓は一本のパイプでつながっている ~肝門脈から考える体質改善~」
なぜ腸の状態が肝臓に影響するのか。
そして、なぜ肝臓の不調がホルモンや自律神経の乱れにつながるのかを詳しく解説します。
