「妊活を始めてから肌荒れしやすくなった。」
「採卵後にニキビが増えた。」
「移植周期は乾燥しやすい気がする。」
妊活中、このような肌の変化を感じる方は少なくありません。
多くの場合、「ホルモンの影響ですね」と説明されますが、それだけでは十分ではありません。
実際には、同じ治療を受けても肌がきれいになる方もいれば、肌荒れが悪化する方もいます。
この違いはどこから生まれるのでしょうか。
今回は、東洋医学と栄養学の視点から、妊活中の肌質の変化について考えてみたいと思います。
女性ホルモンは肌に大きく関わる
女性ホルモンには、大きく分けてエストロゲンとプロゲステロンがあります。
エストロゲンには、
- コラーゲンの維持
- 肌の水分量を保つ
- ハリや弾力を支える
といった働きがあります。
一方、プロゲステロンは、
- 皮脂分泌を増やしやすい
- むくみやすくなる
- ニキビができやすくなる
といった変化に関係すると考えられています。
そのため、月経周期や妊活中の治療によって肌の状態が変化することがあります。
でも、それだけでは説明できません
同じホルモン補充療法を受けても、
- 肌が安定する方
- ニキビが増える方
- 乾燥が強くなる方
など反応はさまざまです。
もしホルモンだけが原因であれば、全員が同じような変化をするはずです。
しかし実際にはそうではありません。
これは、ホルモンを受け止める体の状態が一人ひとり異なるためだと考えられます。
胃腸の働きが肌を左右する
妊活では、葉酸や鉄、ビタミンD、タンパク質など、さまざまな栄養素が重要になります。
しかし、それらを摂るだけでは十分ではありません。
胃腸の働きが低下していると、
- タンパク質が消化できない
- 鉄が吸収されにくい
- ビタミンやミネラルが利用されにくい
状態になります。
肌は毎日新しい細胞へと生まれ変わっています。
その材料が不足すると、乾燥や肌荒れが起こりやすくなります。
腸内環境も女性ホルモンに関わる
近年では、腸内環境と女性ホルモンとの関係も注目されています。
腸内細菌は、エストロゲンの代謝にも関わることがわかってきています。
また、
- 便秘
- 腸内環境の乱れ
- 慢性的な炎症
などが続くと、体全体のバランスが崩れやすくなり、肌へも影響することがあります。
そのため当院では、妊活と肌荒れの両方で腸内環境を大切に考えています。
東洋医学では「体質」を見る
東洋医学では、「妊活だから肌荒れする」とは考えません。
同じ妊活中でも、
血虚タイプなら、
- 顔色が悪い
- 肌が乾燥する
- 髪や爪が弱くなる
陰虚タイプなら、
- 肌や粘膜が乾燥する
- ほてりを感じやすい
- 寝汗をかきやすい
湿熱タイプなら、
- 赤いニキビ
- 皮脂が多い
- 吹き出物を繰り返す
気滞タイプなら、
- ストレスで悪化する
- 生理前や治療中に肌が不安定になる
というように、同じ肌荒れでも背景となる体質は異なります。
だからこそ、「妊活中だから」と一括りにするのではなく、一人ひとりの体質を見極めることが大切です。
ストレスも見逃せません
妊活は、身体だけでなく心にも大きな負担がかかることがあります。
検査や治療の予定、結果への不安、仕事との両立など、さまざまなストレスを抱えやすい時期です。
ストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れ、
- 胃腸の働きが低下する
- 睡眠の質が悪くなる
- 血流が低下する
といった変化が起こります。
こうした変化も、肌質に影響を与える一因になります。
当院で大切にしていること
当院では、肌荒れをホルモンだけの問題とは考えていません。
確認するのは、
- 胃腸の状態
- 睡眠の質
- 食事内容
- 腸内環境
- ストレス
- 月経周期
- 東洋医学的な体質
など、体全体の状態です。
鍼灸では、自律神経や血流、胃腸の働きを整えながら、妊娠しやすい体づくりと、健やかな肌づくりの両方をサポートしています。
さらに、栄養学の視点も取り入れ、その方に必要な栄養素や食事についても一緒に考えていきます。
まとめ
妊活中の肌質の変化は、ホルモンだけで決まるものではありません。
その背景には、
- 胃腸の働き
- 腸内環境
- 栄養状態
- 自律神経
- 東洋医学でいう体質
などが複雑に関わっています。
だからこそ、「ホルモンの影響だから仕方ない」とあきらめる必要はありません。
体全体の状態を整えることで、肌の変化だけでなく、妊娠しやすい体づくりにもつながる可能性があります。
肌は、体からのメッセージです。
妊活中だからこそ、肌の変化にも目を向け、体の内側の状態を見直してみてはいかがでしょうか。
次回予告
「腸活で肌は変わるのか? 〜美肌への近道は“腸を整えること”かもしれません〜」
次回は、「腸活」と肌の関係について、腸内細菌だけでなく、消化・吸収・リーキーガット・短鎖脂肪酸・東洋医学の「脾」の考え方も交えながら解説します。
