インスリン抵抗性を改善する食事|ご飯は減らす?朝食は?甘いものは?

前回までの記事では、

インスリン抵抗性とは何か?

そして、

血液検査ではどのように考えるのか?

について説明しました。

では実際にインスリン抵抗性が気になる場合、

「何を食べればいいのでしょうか?」

患者さんから特によく聞かれるのが、

「ご飯は減らしたほうがいいですか?」
「糖質制限をしたほうがいいですか?」
「果物は食べても大丈夫ですか?」
「甘いものは禁止ですか?」

という質問です。

結論からいうと、

インスリン抵抗性=ご飯を食べない

というほど単純ではありません。

当院では、

糖質をなくすのではなく、身体が糖を上手に使える食生活を作る

ことを大切にしています。

目次

まず減らしたいのは「液体の糖」

糖質を減らそうと思ったとき、多くの方が最初に、

「ご飯を半分にしよう」

と考えます。

しかし、その前に確認してほしいものがあります。

清涼飲料水
甘いカフェラテ
砂糖入りコーヒー
スポーツドリンク
エナジードリンク
果汁飲料

などです。

こうした飲み物には、砂糖や果糖ブドウ糖液糖などが多く含まれている場合があります。

液体なので短時間に大量の糖を摂取しやすく、満腹感も得にくいのが特徴です。

そのため当院では、

ご飯を減らす前に、日常的に飲んでいる糖を確認する

ことをおすすめしています。

水やお茶を基本にするだけでも、食生活は大きく変わります。

ご飯は食べてもいい?

もちろん、食べて構いません。

ご飯を食べれば血糖値は上がります。

しかし、

食後に血糖値が上がること自体は正常な反応です。

大切なのは、

上がった血糖を筋肉や肝臓などが適切に処理できることです。

当院では、

「血糖値を上げない身体」

ではなく、

「上がった血糖をきちんと利用できる身体」

を目指すことが大切だと考えています。

ご飯だけで食べない

ただし、

大盛りの白米だけ

という食べ方と、

ご飯

味噌汁
野菜
海藻

という食事では、同じご飯でも食事全体が違います。

例えば、

ご飯
焼き魚
豆腐とわかめの味噌汁
野菜のおかず

という昔ながらの和食なら、

糖質だけではなく、

タンパク質
脂質
食物繊維
ビタミン
ミネラル

なども一緒に摂ることができます。

当院では、

一つの栄養素ではなく「一食」を見る

ことを大切にしています。

朝食はできるだけ食べましょう

当院では、

基本的に朝食は食べたほうがよい

と考えています。

理由の一つは、

一日に必要なエネルギーや栄養を確保するためです。

例えば一日に必要なエネルギーを昼食と夕食の2回だけで確保しようとすると、一回にかなりの量を食べなければならなくなります。

胃腸が丈夫で食事量の多い方なら可能かもしれません。

しかし当院に来院される方には、

胃腸が弱い
疲れやすい
食が細い
一度にたくさん食べられない
ストレスで食欲が落ちている

という方も少なくありません。

そのような方が朝食を抜いてしまうと、

一日に必要なエネルギーや栄養を満たすことが、さらに難しくなってしまいます。

健康のために朝食を抜いているのに、結果として身体を回復させるためのエネルギーまで不足してしまう。

これは避けたいところです。

朝食は次の食事にも影響する

もう一つ知っておいてほしいのが、

セカンドミール効果

です。

これは、

前に食べた食事が、次の食事の血糖反応にも影響する

という現象です。

つまり、

昼食後の血糖値は昼食だけで決まっているわけではありません。

朝食を摂ることで、その後の昼食に対する血糖・インスリン反応が変化することが研究されています。

朝食を抜いて長時間何も食べず、

昼になって一気に食べる。

この食べ方よりも、

朝から身体にエネルギーが入ってくるリズムを作っておく

ことを当院では大切にしています。

朝食を食べられない人はどうする?

ここで、

「朝は食欲がありません」

という方もいると思います。

そのような方に、

「朝からご飯一膳、焼き魚、味噌汁、卵を全部食べてください」

とは言いません。

むしろ大切なのは、

少しでも朝に食べる習慣を作ること

です。

例えば、

ご飯を半膳だけ。

小さなおにぎり一個。

味噌汁だけ。

ご飯と卵。

ご飯と納豆。

果物を少し。

最初はそのくらいでも構いません。

朝食を食べられない方にとって大切なのは、

いきなり理想的な朝食を完成させることではなく、「朝に食べる」という身体のリズムを少しずつ作ること

だと考えています。

朝に食欲がない理由も考える

そして、

「朝食を食べられない」

こと自体を体質として終わらせないことも大切です。

例えば、

夕食が遅い
夜に食べすぎている
夜食を食べている
睡眠時間が短い
中途覚醒が多い
ストレスが強い
胃腸の調子が悪い

などが背景にあることもあります。

つまり、

朝食を食べられないことが、生活リズムや身体の状態を教えてくれている場合もあります。

朝食を無理に詰め込むのではなく、

「なぜ朝に食べられないのだろう?」

というところまで考えていきます。

朝食を食べるなら何を食べる?

おすすめしているのは、特別な健康食品ではありません。

例えば、

ご飯
味噌汁

これだけでも構いません。

余裕があれば、

納豆

海苔
野菜

などを加えます。

毎朝完璧な和定食を作る必要はありません。

大切なのは、

食べられるところから始めて、一日に必要なエネルギーと栄養を確保すること

です。

菓子パンと甘いコーヒーだけになっている場合も、すべてを一度に変える必要はありません。

少しずつ、

「食品そのものを食べる朝食」

へ変えていきましょう。

食物繊維を増やす

インスリン抵抗性を考えるうえで、

食物繊維

も重要です。

食物繊維は、

野菜
海藻
きのこ
豆類
いも類
果物

などに含まれています。

さらに一部の食物繊維や発酵性糖質は腸内細菌によって利用され、

酢酸
プロピオン酸
酪酸

などの短鎖脂肪酸が作られます。

腸内環境と糖代謝は無関係ではありません。

だから当院では、

血糖値だけを見るのではなく腸内環境も一緒に整える

ことを大切にしています。

「野菜から食べれば何を食べてもいい」ではない

いわゆる、

ベジファースト

によって食後血糖の上昇が緩やかになることがあります。

しかし、

野菜を最初に食べたから、その後に大量のお菓子や清涼飲料水を摂っても大丈夫

ということではありません。

食べる順番は、

食生活を補助する工夫

です。

基本は、

何を食べているのか
どのくらい食べているのか

です。

果物は食べてもいい?

果物も、

「果糖が入っているから禁止」

にする必要はありません。

果物には、

水分
食物繊維
ビタミン
ミネラル
ポリフェノール

なども含まれています。

丸ごとの果物と、

果糖ブドウ糖液糖を含む清涼飲料水

を同じ「果糖」として扱う必要はありません。

ただし、

果汁ジュース
濃縮果汁飲料

などは、果物そのものより短時間に大量に摂取しやすくなります。

当院では、

果物は飲むより食べる

ことをおすすめしています。

甘いものは一生禁止?

これも必要ありません。

甘いものを完全禁止にすると、

「食べてしまった」

という罪悪感が強くなり、食事そのものがストレスになる人もいます。

毎日大量に食べることと、

時々楽しむことは違います。

当院では、

ゼロにするより、日常的に必要としない身体と食生活を作る

ことを目指します。

食後に少し歩く

食事以外で非常に取り入れやすいのが、

食後に身体を動かすこと

です。

筋肉は糖を利用する大きな場所です。

食後に軽く歩く。

家事をする。

階段を使う。

こうした活動でも筋肉は糖を使います。

「血糖値を上げないために食べない」

だけではなく、

食べた糖を使う

という発想を持ってみてください。

筋肉を減らさない

年齢とともに筋肉量は低下しやすくなります。

筋肉量が減れば、糖を利用する場所も減ります。

そのため、

ウォーキング
スクワット
軽い筋力トレーニング

などを無理のない範囲で続けることも大切です。

インスリン抵抗性は、

食事だけの問題ではありません。

睡眠を削って食事だけ頑張らない

どれだけ食事を完璧にしても、

毎日睡眠時間が短い
夜中に何度も目が覚める
強いストレスが続いている

という状態では、糖代謝に影響することがあります。

睡眠不足やストレスは、インスリン感受性や血糖調節にも関係します。

ですから、

糖質量だけを細かく計算するより、

まずしっかり眠る

ことが重要な場合もあります。

当院がおすすめする基本の食事

特別な食事法ではありません。

ご飯+味噌汁+主菜+副菜

を基本にします。

主菜は、




豆腐
納豆

など。

副菜として、

野菜
海藻
きのこ
いも類

などを取り入れます。

そして、

清涼飲料水
菓子パン
お菓子

などに食事が置き換わらないようにします。

毎食100点を目指す必要はありません。

朝・昼・夜と身体に必要なエネルギーを届ける習慣を作ること。

こちらのほうが大切です。

まとめ

インスリン抵抗性を改善するために、

ご飯を完全にやめる必要はありません。

むしろ、

食事を抜きながら糖質だけを怖がるのではなく、

一日に必要なエネルギーと栄養をきちんと確保すること

が大切です。

当院では基本的に朝食をおすすめしています。

朝食を食べることで一日のエネルギーを分散して摂りやすくなり、次の食事に対する代謝反応にも影響します。

ただし、朝食を食べられない方が最初から完璧な朝食を食べる必要はありません。

小さなおにぎり一個でもいい。
味噌汁だけからでもいい。

まず、

「朝に身体へエネルギーを入れる」という習慣を作ること。

そして、

甘い飲み物やお菓子に偏らず、

ご飯、魚、肉、卵、大豆製品、野菜、海藻、きのこ、果物など、

食品そのものを食べる割合を増やしていく。

身体を動かす。

しっかり眠る。

インスリン抵抗性の改善は、

糖質を避けることではなく、必要なエネルギーをきちんと摂り、それを身体が上手に利用できる状態を作ること。

当院では、この考え方を大切にしています。

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