スーパーやコンビニで食品を買うとき、
「添加物が気になるけれど、何を見ればいいのかわからない」
という方は多いと思います。
保存料、乳化剤、甘味料、着色料、増粘剤……。
すべて覚えようとすると、買い物をするだけでも大変です。
当院では、
「添加物を完全にゼロにする」
ことを目標にはしていません。
一方で、
「国が認めているから何も気にしなくていい」
とも考えていません。
食品添加物には、食中毒を防ぐ、保存性を高める、品質を安定させるなど、食品を安全に製造・流通させるための役割があります。
しかし、安全性の基準があることと、
「健康のために積極的に摂取する必要がある」
ことは別です。
ですから当院では、
身体に必要な食品をしっかり食べたうえで、必要性の低い添加物は無理のない範囲で減らす。
という考え方をおすすめしています。
今回は、そのための食品表示の見方についてお話しします。
まず「原材料名」を見てみましょう
食品を購入するとき、最初に見てほしいのが、
原材料名
です。
原材料は基本的に、使用した重量の割合が高いものから順番に表示されています。
例えば、
小麦粉、砂糖、植物油脂、卵……
と書かれていれば、小麦粉の使用割合が最も多いということです。
そして現在の食品表示では、原材料と添加物を、
「/(スラッシュ)」
などで区分して表示する方法が一般的です。
例えば、
小麦粉、砂糖、卵、植物油脂/乳化剤、香料、膨張剤
という表示です。
「/」より前が原材料、
「/」より後が添加物、
という見方ができます。
※表示方法には例外もあるため、すべての商品がこの形式とは限りません。
添加物の「数」だけで判断しない
ここで、
「/の後ろに5個も書いてあるから危険」
と考える必要はありません。
添加物には、それぞれ異なる目的と性質があります。
保存料
甘味料
乳化剤
酸化防止剤
着色料
増粘剤
pH調整剤
などをすべて同じ「毒性」として扱うことはできません。
例えば乳化剤でも、これまでの記事で紹介したように、
カルボキシメチルセルロース(CMC)やポリソルベート80と、食品にも存在するレシチンでは同じように考えることはできません。
大切なのは、
「添加物が何個入っているか」より「何が入っているのか」。
です。
当院では「食品に近いか?」も見ます
添加物の名前を全部暗記するより、もっと簡単な方法があります。
それが、
「自分の台所にもあるものか?」
という視点です。
例えば、
米
魚
肉
卵
豆腐
納豆
味噌
野菜
海藻
きのこ
果物
などは、素材そのものです。
卵を食べれば、食品中に自然に存在するレシチンも摂取します。
果物を食べれば、果糖も摂取します。
しかし、
果物を丸ごと食べることと、果糖ブドウ糖液糖を含む清涼飲料水を飲むことは同じではありません。
ここが、食品表示を見るうえでとても重要です。
果糖ブドウ糖液糖は「果糖だから悪い」のではない
果糖ブドウ糖液糖については、
「果糖だから身体に悪い」
と説明されることがあります。
しかし、それでは果物に含まれる果糖との違いを説明できません。
果物には、
水分
食物繊維
ビタミン
ミネラル
ポリフェノール
などが含まれ、食品の構造を保った状態で摂取します。
噛む必要もあります。
一方、清涼飲料水などに含まれる糖は、液体として短時間に摂取できます。
そのため重要なのは、
糖の種類だけではなく、どのような食品から、どのくらいの量を、どのくらいの速度で摂取するか
です。
果糖ブドウ糖液糖を含む甘い飲料を大量に摂取する食生活では、余剰エネルギーが増えやすく、肝脂肪やインスリン感受性への影響も研究されています。
だから当院では、
「果糖を避ける」のではなく、「精製された糖を液体や加工食品から大量に摂らない」
という考え方をしています。
果物を丸ごと食べることまで怖がる必要はありません。
保存料については「メリット」も考える
保存料についても、
「保存料=悪」
と考える必要はありません。
保存料には、
食品の腐敗を防ぐ
細菌の増殖を抑える
食中毒リスクを減らす
食品を安全に流通させる
という重要な役割があります。
つまり、保存料を使うこと自体には明確なメリットがあります。
ただし、
保存料そのものを摂取することで栄養状態が改善するわけではありません。
そこで当院では、
「必要な場面では使う意味がある。しかし、毎日の食事すべてを長期保存できる加工食品にする必要もない」
と考えています。
新鮮な肉や魚、卵、野菜などを購入できるのであれば、そうした食品を普段の食事の中心にする。
加工食品は便利なときに利用する。
このくらいで十分です。
「人工」「天然」だけでも判断しない
ここも注意が必要です。
当院では食品由来のものを比較的優先して考えていますが、
天然=安全
人工=危険
という単純な分類ではありません。
天然物にも毒性を持つものがあります。
一方、人工的に作られた物質でも、安全性が十分確認されて使用されているものがあります。
重要なのは、
由来・使用量・摂取頻度・生体への作用をそれぞれ見ること。
です。
例えば乳化剤でも、種類によって腸内細菌への影響が異なることが研究されています。
だからこそ、
「乳化剤だから全部ダメ」
ではなく、
どの乳化剤なのか
を見る必要があります。
「/の後ろ」だけ見ていても健康にはならない
食品表示を見るようになると、
「/より後ろ」
ばかり気になってしまうことがあります。
しかし実は、
/より前のほうがもっと重要です。
例えば、
砂糖、小麦粉、植物油脂……
が原材料の大部分を占めている食品に、
「保存料不使用」
と書いてあったとしても、それだけで健康的な食品になるわけではありません。
反対に、
魚、野菜、大豆などを使った食品に、安全性や品質保持のため少量の添加物が使用されているからといって、その食品全体を否定する必要もありません。
食品を見るときは、
「何が入っていないか」より「何からできているか」
を先に見てください。
腸内環境を考えるなら「添加物を減らす」だけでは足りない
腸内環境についても同じです。
乳化剤など、一部の食品添加物については腸内細菌や腸粘膜への影響が研究されています。
そのため、加工食品への依存度が高い方が摂取頻度を減らすことには意味があると思います。
しかし、
乳化剤を避ける
人工甘味料を避ける
保存料を避ける
だけでは、腸内細菌のエサは増えません。
重要なのは、
野菜
海藻
きのこ
豆類
いも類
果物
などから、
食物繊維
オリゴ糖
レジスタントスターチ
などを摂ることです。
つまり、
「腸に負担となる可能性のあるものを減らす」+「腸に必要なものを入れる」
の両方が必要です。
食品表示を見るときの優先順位
当院では、食品を選ぶときは次のような順番で考えています。
① 何からできているか
まず原材料を見る。
素材に近い食品が中心なのかを確認します。
② 糖の入り方
砂糖、果糖ブドウ糖液糖などが多く使われ、甘味飲料や菓子として大量摂取しやすくなっていないか。
③ 脂質
どのような油脂が使われているのか。
そして食生活全体として脂質に偏りすぎていないか。
④ 添加物
乳化剤、保存料、甘味料など、何が使用されているのかを見る。
⑤ 食べる頻度
ここが非常に重要です。
月に一度食べる食品と、毎日食べる食品では意味が違います。
毎日食べるものほど、
できるだけシンプルな原材料の食品を選ぶ。
これだけでも食生活はかなり変わります。
「添加物ゼロ」ではなく「素材を増やす」
食品添加物について調べれば調べるほど、
「あれも危険かもしれない」
「これも食べられない」
となりがちです。
しかし、それでは食事そのものがストレスになります。
当院が目指しているのは、
添加物ゼロの生活ではありません。
ご飯を食べる。
味噌汁を飲む。
魚や肉を食べる。
卵や大豆製品を食べる。
野菜、海藻、きのこを食べる。
果物も食べる。
そうすると自然に、
高度に加工された食品の割合が下がっていきます。
結果として、
添加物
精製された糖
過剰な脂質
などを摂取する頻度も減っていきます。
これが一番無理のない方法だと思います。
まとめ
食品添加物について、
「安全だから何も気にしなくてよい」
と考える必要はありません。
一方で、
「添加物はすべて身体に悪い」
と考える必要もありません。
食品添加物にはそれぞれ異なる役割と作用があります。
だからこそ食品表示を見るときには、
添加物の数を数えるのではなく、
何から作られているのか。
どんな添加物なのか。
どのくらいの頻度で食べるのか。
を見ることが大切です。
そして何より、
食品表示を見なくても分かる食品を増やすこと。
米、魚、肉、卵、豆、野菜、海藻、きのこ、果物。
こうした食品を日常の中心にする。
添加物を怖がって食べられるものを減らすのではなく、
身体に必要な食品を増やした結果として、必要性の低い添加物が自然と減っていく。
当院では、このような食事の考え方をおすすめしています。
