「添加物は国が認めているから安全です」
食品添加物について調べると、このような説明を目にすることがあります。
確かに、日本で使用される食品添加物には安全性評価や使用基準があります。
しかし、
「基準内で使用できる」ということと、「健康のために積極的に摂ったほうがよい」ということは全く別です。
当院では食品添加物について、
「すべて危険だから完全に排除しましょう」
とも、
「安全基準があるから何も気にしなくてよい」
とも考えていません。
基本的な考え方はとてもシンプルです。
身体に必要な栄養をしっかり摂ったうえで、必要のない添加物については、無理のない範囲で摂取頻度を減らす。
今回はその代表例として、ハム・ベーコン・ソーセージなどの加工肉について考えてみます。
加工肉には実際に健康リスクの研究がある
ハム、ベーコン、ソーセージなどの加工肉については、単なるイメージではなく、健康との関連について多くの研究があります。
IARC(国際がん研究機関)は加工肉を、
「ヒトに対して発がん性がある」Group 1
に分類しています。
特にエビデンスが強いのが大腸がんとの関連です。
研究データの解析では、加工肉を1日50g食べるごとに、大腸がんの相対リスクが約18%上昇すると推定されています。
ただし、これは「加工肉を食べた人の18%が大腸がんになる」という意味ではありません。
また、Group 1だからタバコと同じ危険度という意味でもありません。
大切なのは、
「少量でも毒だから食べてはいけない」ではなく、摂取量が増えるほどリスクが高くなる傾向が確認されている
ということです。
「安全」と「身体に良い」は違う
ここは添加物を考えるうえで非常に重要です。
食品添加物の安全性評価では、
「身体に良いか?」
を調べているわけではありません。
毒性試験などをもとに、
どの程度までなら健康への悪影響が生じないと考えられるか
を評価し、使用量などが管理されています。
つまり、
使用が認められている=健康効果がある
ではありません。
添加物には、
食品を長持ちさせる
食中毒を防ぐ
品質を安定させる
色や食感を保つ
など、食品を製造・流通させる側の重要なメリットがあります。
一方で私たち消費者は、
「使用できるか」だけではなく、「日常的に摂る必要があるのか」
という視点を持ってもよいと思います。
亜硝酸ナトリウムは何のために入っている?
加工肉でよく問題になるのが、
発色剤(亜硝酸Na)
です。
亜硝酸ナトリウムには、食肉製品の色を保つだけではなく、品質保持や微生物制御などの目的があります。
ですから、
「意味もなく入れている添加物」
というわけではありません。
一方で、亜硝酸塩については、
N-ニトロソ化合物
との関係が研究されています。
条件によって亜硝酸塩からN-ニトロソ化合物が生成し、その中には発がん性を持つものがあります。
加工肉と大腸がんの関係には、
亜硝酸塩・ニトロソ化合物
ヘム鉄
加工方法
加熱方法
など複数の要因が関係すると考えられています。
ですから、
「加工肉の発がん性は亜硝酸ナトリウムだけが原因」
とするのも正確ではありません。
しかし同時に、
「使用基準内だから何も考えなくていい」
とする必要もないと思います。
当院では「毎日摂る必要があるか?」を考えます
例えば、
毎朝ウインナー。
昼食にもハム。
夕食にも加工肉。
という食生活であれば、
「安全基準内だから問題ありません」
で終わらせるのではなく、少し食生活を見直してもよいでしょう。
なぜなら、加工肉を食べなければタンパク質が摂れないわけではないからです。
卵
魚
鶏肉
豚肉
牛肉
豆腐
納豆
など、スーパーで普通に購入できる食品からタンパク質を摂ることができます。
加工肉を禁止するのではなく、加工していない食品へ置き換えられるところは置き換える。
これが基本です。
「スーパーで普通に買える食材」を基本にする
添加物について難しく考える必要はありません。
一つの目安として、
家庭の台所やスーパーの食材売り場に普通にあるものを中心に食事を作る
という考え方があります。
米
魚
肉
卵
大豆
味噌
野菜
海藻
きのこ
果物
こうした食品です。
食品工場でなければ使用することのない原料をすべて危険と判断することはできません。
しかし、
日常の食事を素材に近い食品から作れば、結果として多くの添加物への曝露頻度を減らすことができます。
添加物を一つ一つ暗記するよりも、ずっと簡単です。
「無塩せきならいくら食べてもよい」でもない
ここも注意してください。
発色剤不使用、無塩せきのハムやソーセージもあります。
こうした商品を選ぶこと自体は一つの選択です。
当院としても、同じような商品で迷ったときに、よりシンプルな原材料の商品を選ぶことはよいと思います。
ただし、
無塩せき=加工肉ではない
という意味ではありません。
加工肉そのものについて大腸がんとの関連が認められている以上、
「無添加だから毎日大量に食べてもよい」
とは考えません。
ここでも重要なのは量と頻度です。
食品は「メリットとデメリット」で考える
保存料などには、食品の腐敗や食中毒を防ぐという大きなメリットがあります。
これは無視できません。
ですから、
保存料=悪
という単純な話にはできません。
しかし、
保存料を摂ることで身体が健康になるわけでもありません。
食品を長期間保存する必要があるから使用する。
遠くまで流通させるために使用する。
品質を一定にするために使用する。
こうした社会的・衛生的なメリットと、身体への影響を評価しながら使用されています。
だからこそ家庭で選択できるのであれば、
必要以上に加工された食品ばかりに依存しない
という選択には十分意味があると思います。
加工食品を減らすと「足し算」も起こる
加工肉を減らすメリットを、
「亜硝酸塩を減らせる」
だけで考える必要もありません。
例えば、
ウインナーを焼き魚にする。
ハムを卵にする。
加工肉中心のお弁当を、魚・肉・野菜のお弁当にする。
すると、
摂取する食品の種類そのものが変わります。
魚から脂質やミネラル。
卵からタンパク質やコリン。
大豆製品からタンパク質や食物由来のさまざまな成分。
野菜や海藻から食物繊維やミネラル。
つまり、
添加物を減らすだけではなく、身体に必要な栄養を増やすことができます。
当院が大切にしたいのはこちらです。
「避ける健康法」にしない
添加物について勉強していくと、
「あれも危険」
「これも食べられない」
となってしまうことがあります。
それでは食事そのものがストレスになります。
加工肉を一度食べたから身体がおかしくなるわけではありません。
外食をする日もあります。
コンビニを使う日もあります。
大切なのは、
毎日の基本となる食事をどうするか。
です。
普段は、
ご飯
味噌汁
魚や肉
卵
大豆製品
野菜
海藻
きのこ
などを食べる。
そして、ときどきハムやソーセージを食べる。
このくらいでよいと思います。
まとめ
食品添加物について、
「認可されているから何も気にしなくてよい」
という考え方に、当院は少し疑問を持っています。
安全性評価は、
「身体に良い」
ことを証明しているものではありません。
一方で、
「添加物はすべて毒だから完全に避ける」
という考え方も適切ではありません。
保存料などによって食中毒を防ぎ、食品を安全に流通できるというメリットもあります。
だからこそ大切なのは、
必要性を考えること。
加工していない肉や魚、卵、大豆製品が選べるのであれば、そちらを普段の食事の中心にする。
ハムやソーセージは便利な食品として、ときどき利用する。
このくらいの付き合い方でよいと思います。
健康のために必要なのは、
「添加物ゼロ」を目指すことではなく、身体に必要な食品を中心とした食生活を作ること。
その結果として、
必要のない添加物を摂取する機会も自然と少なくなる。
当院では、この順番を大切にしています。
