「肌にツヤがなくなってきた。」
「ファンデーションを塗っても顔色が冴えない。」
「乾燥しやすく、小じわが気になる。」
このような悩みを「年齢のせい」と考えていませんか?
もちろん加齢による変化もありますが、東洋医学では「血虚(けっきょ)」という体質が関係していることがあります。
血虚とは、単に血液の量が少ないという意味ではなく、体を養うための「血」の働きが不足している状態を指します。
今回は、血虚と肌の関係についてご紹介します。
東洋医学でいう「血」とは?
東洋医学の「血」は、西洋医学の血液とは少し意味が異なります。
もちろん血液としての役割も含まれますが、それだけではありません。
「血」は、
- 肌や髪、爪に栄養を届ける
- 筋肉や内臓を養う
- 目や脳の働きを支える
- 心を安定させる
といった働きを持つと考えられています。
つまり、「血」が十分に巡ることで、肌にも必要な栄養や潤いが届き、美しい状態を保ちやすくなるのです。
血虚になると肌はどう変わる?
血虚では、肌へ十分な栄養が届きにくくなるため、次のような変化が現れやすくなります。
顔色が悪くなる
肌の赤みや血色が少なくなり、青白い印象やくすみが目立ちやすくなります。
「疲れている?」と聞かれることが増えた場合は、血虚が関係しているかもしれません。
肌が乾燥する
血には肌を養う働きがあります。
血が不足すると、肌のバリア機能が低下し、乾燥しやすくなることがあります。
特に秋から冬にかけて乾燥が強くなる方は、血虚の傾向が隠れていることがあります。
ターンオーバーが乱れる
肌は約1か月ほどの周期で生まれ変わっています。
しかし、血が不足すると十分な栄養が届かず、
- 肌荒れが治りにくい
- ニキビ跡が残りやすい
- シミやくすみが改善しにくい
といった状態につながることがあります。
肌だけではありません
血虚は、肌以外にもさまざまなサインとして現れます。
例えば、
- 髪が細くなった
- 抜け毛が増えた
- 爪が割れやすい
- 立ちくらみがある
- めまいがする
- 疲れやすい
- 集中力が続かない
- 眠りが浅い
このような症状がいくつも当てはまる場合は、体全体が十分に養われていない可能性があります。
なぜ血虚になるの?
東洋医学では、血虚の原因はいくつかあると考えられています。
胃腸の働きが弱い
食べたものから血を作るためには、胃腸が元気に働くことが大切です。
消化吸収がうまくいかない状態では、十分な栄養を取り込めず、血を作る力も低下しやすくなります。
そのため、血虚を改善するには胃腸を整えることが重要です。
出血が多い
月経量が多い方や出産後は、血を多く消耗します。
東洋医学では、女性は月経によって定期的に血を失うため、男性よりも血虚になりやすいと考えられています。
睡眠不足や慢性的な疲労
睡眠は体を回復させる大切な時間です。
慢性的な睡眠不足や過労が続くと、体を養う力が低下し、血虚につながることがあります。
栄養学から見ても「血」は大切
東洋医学の血虚は、西洋医学の貧血と同じではありません。
ただし、考え方が重なる部分もあります。
例えば、
- タンパク質
- 鉄
- ビタミンB群(特に葉酸・ビタミンB12・B6)
- 亜鉛
- 銅
などは、赤血球をつくったり、細胞の修復を支えたりするために欠かせない栄養素です。
これらが不足すると、肌のターンオーバーやコラーゲンの合成にも影響が及ぶことがあります。
当院でも、東洋医学的に血虚が疑われる方では、食事内容や栄養状態を確認し、必要に応じて見直しをご提案しています。
血虚の改善には「作る力」を育てることが大切
血虚というと、「鉄分を摂ればよい」と考えられがちですが、それだけでは十分とは言えません。
大切なのは、
- 胃腸でしっかり消化・吸収できること
- 血を作るための栄養素がそろっていること
- 良い睡眠で体を回復させること
- 過度なストレスをためないこと
といった、血を「作る力」を整えることです。
東洋医学でも、「脾(胃腸)」は血を生み出す源と考えられています。
そのため、血虚の改善では胃腸の状態を整えることが基本になります。
当院で大切にしていること
当院では、肌の状態だけではなく、
- 月経の状態
- 胃腸の働き
- 睡眠
- 食事内容
- 冷え
- 疲労の程度
- 髪や爪の状態
なども確認しながら、血虚の背景にある原因を考えていきます。
鍼灸では、胃腸の働きを整え、血流を促し、自律神経のバランスを調整することで、体が本来持つ「養う力」を引き出すことを目指します。
まとめ
血虚は、「血が足りない」という単純な問題ではなく、体全体を養う力が低下している状態と考えられます。
その結果、
- 顔色が悪い
- 肌が乾燥する
- くすみが気になる
- 肌荒れが治りにくい
- 髪や爪が弱くなる
といった変化が現れることがあります。
肌だけをケアするのではなく、胃腸の働きや栄養状態、睡眠、血流などを見直すことが、肌質改善への近道になることも少なくありません。
「最近、肌に元気がない」と感じる方は、体の内側からのサインにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
次回予告
「陰虚と乾燥肌の関係 〜保湿だけでは改善しない乾燥肌の原因とは?〜」
次回は、東洋医学でいう「陰虚」に焦点を当て、乾燥肌やほてり、のどの渇き、更年期や妊活との関係について詳しく解説します。
