スーパーで食品を選んでいると、
「無添加」
「保存料不使用」
「着色料不使用」
「添加物に頼らない」
といった表示を見かけることがあります。
健康を意識していると、
「無添加のほうが身体に良さそう」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
もちろん、できるだけシンプルな原材料から作られた食品を選ぶことは、一つの考え方です。
しかし、
「無添加=健康的」
「添加物使用=身体に悪い」
と単純に分けることはできません。
今回は「無添加」という言葉との上手な付き合い方と、食品を選ぶときに本当に見てほしいポイントについてお話しします。
「無添加」という言葉だけでは分からない
まず知っておきたいのは、
「無添加」と書いてあるだけでは、何が添加されていないのか分かりにくい
ということです。
食品添加物には、
保存料
着色料
甘味料
酸化防止剤
乳化剤
など、さまざまな用途があります。
そのため「無添加」という言葉だけを見て、
「この食品には添加物がまったく使われていない」
と思い込んでしまうと、実際の商品内容とイメージが違ってしまうことがあります。
こうした誤解を防ぐため、現在では食品添加物の「無添加」「不使用」といった表示について、消費者庁がガイドラインを示しています。
つまり、
「無添加」という言葉のイメージだけで食品を選ぶのではなく、何が不使用なのかを見る
ことが大切です。
なぜ食品添加物を使うの?
そもそも食品添加物は、何のために使われているのでしょうか。
例えば保存料には、食品中の微生物の増殖を抑え、保存性を高める目的があります。
酸化防止剤には食品の酸化を防ぐ目的があります。
乳化剤は水と油などを均一な状態に保ちやすくします。
つまり食品添加物には、
食品を安全に保存する
品質を安定させる
食品を製造しやすくする
といった役割があります。
添加物は単に「余計なものを入れている」というだけではありません。
食品を安全に流通させるために役立っているものもあります。
「保存料不使用=絶対に身体に良い」ではない
例えば、
「保存料不使用」
と書かれている食品を見ると、身体に優しい印象を受けるかもしれません。
もちろん、その商品を選ぶこと自体に問題はありません。
ただし、保存料には食品中の微生物の増殖を抑える役割があります。
保存料を使用しない商品では、製造方法や包装、温度管理、賞味期限など別の方法によって食品の安全性や品質を保っている場合があります。
つまり、
保存料が入っていないことだけで食品の安全性や健康への影響を判断することはできない
ということです。
無添加の商品ほど危険という意味でもありません。
大切なのは、
「なぜこの添加物が使われているのか」
まで考えてみることです。
無添加でも砂糖が多い食品はある
健康を考えるとき、特に注意したいポイントです。
例えば、
「無添加のお菓子」
があったとします。
添加物が使われていなくても、
砂糖
小麦粉
油
などを多く使って作られていることがあります。
無添加だからといって、たくさん食べても問題ないわけではありません。
同じように、
「無添加ジュース」
でも糖類を多く含むことがあります。
「無添加ドレッシング」でも商品によって糖質や脂質、塩分などは異なります。
つまり、
添加物の有無と、その食品の栄養バランスは別の話
なのです。
「無添加」という一言より原材料表示を見る
そこでおすすめしたいのが、
食品の裏側を見る習慣
です。
見るポイントは難しくありません。
まず「原材料名」を確認します。
何を中心に作られている食品なのかを見るだけでも、かなり情報が得られます。
さらに、
エネルギー
タンパク質
脂質
炭水化物
食塩相当量
などの栄養成分表示を見ると、その食品の特徴が分かります。
例えば健康を意識して選んだ食品でも、
「思ったよりタンパク質が少ない」
「糖質がかなり多い」
「塩分が高かった」
ということがあります。
表側のキャッチコピーより、裏側の表示を見る。
これは食品を選ぶときにとても役立つ習慣です。
原材料表示の「/」にも注目
食品の原材料表示を見ると、
「小麦粉、砂糖、卵、植物油脂/乳化剤、香料……」
のように「/」が入っていることがあります。
一般的に、原材料と食品添加物を区分して表示する方法として「/」が使われています。
そのため、
「/より後ろに何が書かれているのか」
を見ると、どのような食品添加物が使用されているのかを確認しやすくなります。
ただし、ここでも、
「添加物の数が多い=危険」
と単純に判断する必要はありません。
大切なのは、表示を見て自分で食品を選択できるようになることです。
「無添加」を選ぶこと自体は悪くない
ここまで読むと、
「では無添加を選ぶ意味はないの?」
と思うかもしれません。
そういうことではありません。
同じような食品が二つあり、
原材料がシンプルなものを選びたい。
味が好き。
自分の食生活の方針に合っている。
そういった理由で無添加の商品を選ぶことは、もちろん問題ありません。
私がお伝えしたいのは、
「無添加だから健康に良い」と自動的に判断しなくてもいい
ということです。
無添加という表示は、食品を選ぶための情報の一つ。
そのくらいに考えてみてください。
添加物を避けることがストレスになっていませんか?
健康を意識する方ほど、
「これは添加物が入っているから食べられない」
「外食は何が入っているか分からないから怖い」
「コンビニでは食べられるものがない」
と、食べられる食品がどんどん減ってしまうことがあります。
もちろん、特定の食品に対するアレルギーなど、医学的な理由から避ける必要がある場合は別です。
しかし、
健康になるための食事が、大きなストレスになってしまう
のであれば、一度考え方を見直してみてもよいかもしれません。
食事は毎日続くものです。
100点を目指すより、無理なく続けられることのほうが大切です。
「何を避けるか」だけでは身体は作れない
添加物について勉強すると、
保存料を避ける。
人工甘味料を避ける。
乳化剤を避ける。
と、「避けるもの」が増えていきやすくなります。
しかし身体を作っているのは、
タンパク質
糖質
脂質
ビタミン
ミネラル
などの栄養です。
腸内細菌にとっては、さまざまな食物繊維なども重要になります。
つまり、
身体に必要なものを十分に摂れているか
という視点を忘れてはいけません。
添加物をほとんど摂っていなくても、食事量が少なく、タンパク質やエネルギー、ミネラルなどが不足しているのであれば、それが必ずしも身体にとって良い食生活とは限りません。
和食を基本にすると自然にシンプルになる
そこで当院では、栄養を考えるときに昔ながらの和食をおすすめすることがあります。
例えば、
ご飯
味噌汁
魚や肉
卵
豆腐や納豆
野菜
海藻
きのこ
などです。
すべてを手作りする必要はありません。
納豆はパックでいいですし、豆腐も買ってきたもので構いません。
冷凍野菜や缶詰なども便利です。
重要なのは、
加工食品を完全になくすことではなく、素材に近い食品も組み合わせること。
こうした食事を基本にすると、結果として加工度の高い食品に偏りにくくなります。
そして自然と、食品添加物を摂取する頻度も減っていきます。
食品表示は「怖がるため」ではなく「選ぶため」にある
原材料表示を見る目的は、
「危険な添加物を探すこと」
ではありません。
この食品には何が入っているのか。
どんな栄養を摂れるのか。
自分は普段どんな食品を多く食べているのか。
それを知るための情報です。
例えば、
「今日は加工食品が多かったから、夕食は味噌汁と魚にしよう」
「最近野菜が少ないから、明日は野菜を一品増やそう」
というように利用できます。
知識は、食品を怖がるためではなく、選択肢を増やすために使う。
食品添加物についても、このくらいの距離感で考えてみてください。
まとめ
「無添加」という表示を見ると、健康的な食品というイメージを持つかもしれません。
しかし、
無添加=健康
添加物使用=不健康
という単純なものではありません。
無添加のお菓子でも砂糖や脂質を多く含むことがあります。
反対に食品添加物には、食品の品質や保存性を維持するために使われているものもあります。
食品を選ぶときには、
「無添加」という言葉だけを見るのではなく、
何から作られているのか
どんな栄養が含まれているのか
普段の食生活の中でどのくらい食べているのか
まで考えてみてください。
そして何より大切なのは、
「何を避けるか」だけではなく「身体に必要なものをきちんと食べること」。
添加物を完全になくすことを目標にするのではなく、ご飯、味噌汁、魚、肉、卵、大豆製品、野菜、海藻など、素材に近い食品を少しずつ増やしていく。
結果として加工食品への偏りが減っていく。
それくらいの食生活が、無理なく長く続けられるのではないでしょうか。
次回は、
「コンビニ食=身体に悪い?添加物を気にする人に知ってほしいコンビニの選び方」
について、実際の商品選びに使える考え方を紹介します。
