「毎日保湿をしているのに肌が乾燥する。」
「一年中、肌や唇がカサカサする。」
「肌だけでなく、目や口ものども乾燥しやすい。」
このようなお悩みはありませんか?
乾燥肌というと、化粧水やクリームなど外側からのケアを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、十分に保湿をしても改善しない場合は、体の内側の潤い不足が関係していることがあります。
東洋医学では、このような状態を「陰虚(いんきょ)」と考えることがあります。
今回は、陰虚と乾燥肌の関係についてご紹介します。
東洋医学でいう「陰」とは?
東洋医学では、私たちの体は「陰」と「陽」のバランスによって成り立っていると考えます。
「陽」は、体を温めたり活動させたりするエネルギーです。
一方、「陰」は、
- 体を潤す
- 熱を適切に冷ます
- 臓器や組織を保護する
- 肌や粘膜の潤いを保つ
という働きを担っています。
陰が十分にあることで、肌はしっとりとした状態を保ち、体の熱もバランスよく保たれます。
陰虚になると何が起こる?
陰が不足すると、体を潤す力が弱くなります。
その結果、
- 肌が乾燥する
- 目や口、のどが乾きやすい
- 髪がパサつく
- 便が硬くなる
などの症状が現れることがあります。
さらに、陰には体を冷ます働きもあるため、その力が弱くなることで熱をうまくコントロールできなくなり、「ほてり」を感じやすくなるのも特徴です。
これは体に熱が多いというよりも、熱を冷ます力が不足している状態と考えます。
陰虚の特徴
陰虚の方には、次のような特徴がみられることがあります。
- 肌が乾燥しやすい
- 夕方から夜にかけてほてる
- 顔や手のひら、足の裏が熱く感じる
- 寝汗をかきやすい
- のどが渇く
- 眠りが浅い
- イライラしやすい
ここでいう「ほてり」は、実際に発熱しているわけではありません。
体温を測ると平熱でも、「熱っぽい」「顔が熱い」「手足が火照る」と感じることがあります。
また、陰虚の方でも、
- 足先が冷たい
- 下半身が冷える
- お腹が冷えやすい
といった冷えを伴うことも珍しくありません。
東洋医学では、このようにほてりと冷えが同時に存在することもあると考えています。
なぜ陰虚になるの?
陰虚にはさまざまな原因があります。
加齢
年齢とともに体の潤いは少しずつ減少します。
そのため、
- 肌の乾燥
- 小じわ
- 目の乾燥
- 白髪
などが現れやすくなります。
睡眠不足
睡眠中は体を修復し、潤いを補う大切な時間です。
夜更かしや睡眠不足が続くと、陰を十分に養えず、乾燥や疲労感につながることがあります。
慢性的なストレス
ストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になります。
その結果、
- 血流が低下する
- 胃腸の働きが弱くなる
- 回復力が低下する
などの変化が起こり、陰を養う力も低下しやすくなります。
胃腸の働きの低下
東洋医学では、体を潤す材料も毎日の食事から作られると考えます。
胃腸の働きが弱いと、
- タンパク質
- 必須脂肪酸
- ビタミン
- ミネラル
などが十分に利用されず、肌や粘膜の潤いにも影響することがあります。
栄養学から見た乾燥肌
乾燥肌は栄養状態とも深く関係しています。
例えば、
- タンパク質
- 必須脂肪酸
- ビタミンA
- ビタミンC
- 亜鉛
は、皮膚のバリア機能やターンオーバーを支える大切な栄養素です。
十分に摂取していても、胃腸の働きが低下していると、うまく利用できないことがあります。
そのため、乾燥肌の改善には「何を食べるか」だけでなく、「きちんと消化・吸収できているか」という視点も重要です。
妊活と陰虚の関係
東洋医学では、妊娠には「十分な血」と「十分な陰」が必要と考えられています。
陰虚の方では、
- のどや口が乾きやすい
- 肌や粘膜が乾燥しやすい
- 寝汗をかきやすい
- 夕方から夜にほてりを感じる
といった特徴がみられることがあります。
ここで大切なのは、ほてりを感じることと、実際に体温が高いことは同じではないという点です。
体温は平熱でも、体を冷ます働きが十分ではないために熱感を覚えることがあります。
また、足先や下半身の冷えを伴うこともあり、「冷え」と「ほてり」が同時にみられるケースも少なくありません。
妊活では、このような体質を整え、体全体のバランスを改善していくことも大切な視点になります。
陰虚と血虚の違い
乾燥肌という共通点はありますが、血虚と陰虚では背景が異なります。
血虚は、肌へ栄養を運ぶ「血」が不足している状態です。
- 顔色が悪い
- 疲れやすい
- めまい
- 抜け毛
- 爪が割れやすい
などを伴うことがあります。
一方、陰虚は体を潤し、熱を調整する力が不足している状態です。
- 乾燥肌
- のどや目の乾燥
- ほてり
- 寝汗
- 手足のほてり
などが特徴です。
実際の臨床では、血虚と陰虚が重なっている方も多く、一人ひとりの体質を見極めることが大切です。
当院で大切にしていること
当院では、乾燥肌だけを見るのではなく、
- 睡眠の質
- 胃腸の働き
- 食事内容
- 生理周期
- 冷えやほてり
- ストレス
- お通じ
などを総合的に確認します。
鍼灸では、自律神経や血流、胃腸の働きを整えながら、体が本来持つ「潤す力」を引き出すことを目指します。
また、栄養学の視点からも不足しやすい栄養素を確認し、体の内側から乾燥肌の改善をサポートしています。
まとめ
乾燥肌は、保湿不足だけが原因ではありません。
東洋医学では、体を潤し、熱を調整する「陰」が不足すると、
- 肌や粘膜が乾燥する
- のどや目が乾く
- ほてりを感じる
- 寝汗をかく
などの症状が現れると考えます。
ここでいう「ほてり」は、発熱ではなく、体を冷ます力が不足しているために起こる熱感です。
そのため、体温は平熱でも熱っぽく感じたり、足先の冷えと顔のほてりが同時に起こったりすることがあります。
乾燥肌を根本から改善するためには、スキンケアだけでなく、胃腸や自律神経、栄養状態、そして体質全体を見直すことが大切です。
肌からのサインをきっかけに、体の内側にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
次回予告
「湿熱タイプとニキビ肌 〜繰り返す赤ニキビは体に“熱”がこもっているサイン?〜」
