「肌に良い食べ物はありますか?
美容鍼を受けている方から、このような質問をいただくことがあります。
ビタミンC、コラーゲン、プロテイン、スーパーフードなど、美容に良いといわれる食品や栄養素はたくさんあります。
もちろん、それぞれに必要な栄養素は含まれています。
しかし、肌質改善を考えるときに大切なのは、特別な食品を追加することではありません。
毎日の食事から必要な栄養を摂り、それをきちんと消化・吸収できる体をつくること。
今回は、美肌のための食事について、腸や東洋医学の視点も含めて考えてみましょう。
肌は毎日の食事から作られる
皮膚は常に新しい細胞へと入れ替わっています。
その材料となるのが、私たちが毎日食べているものです。
肌を作るためには、
- タンパク質
- 糖質
- 脂質
- ビタミン
- ミネラル
など、さまざまな栄養素が必要です。
つまり、
「これだけ食べれば肌がきれいになる」
という食品があるわけではありません。
大切なのは、特定の栄養素だけを増やすのではなく、体が必要としている栄養を毎日の食事からバランスよく摂ることです。
まず大切なのが「エネルギー不足」にならないこと
肌を作るためには、材料だけでなくエネルギーが必要です。
健康や美容を意識するあまり、
「糖質を控えています」
「夜はご飯を食べません」
という方もいらっしゃいます。
しかし、エネルギーが不足すると、体は生命維持を優先します。
肌や髪、爪などは後回しになりやすいため、
- 肌に元気がない
- 髪が細くなる
- 爪が弱くなる
- 疲れやすい
- 冷えやすい
などが同時に現れることがあります。
当院では、自律神経の不調についても「栄養不足によるエネルギー不足」という視点を大切にしています。HPでも自律神経と栄養の関係|糖質不足が不調を引き起こす理由について解説しています。
タンパク質は「たくさん」より「消化できる量」
肌の材料として重要なのがタンパク質です。
皮膚だけでなく、
- コラーゲン
- 髪
- 爪
- 筋肉
- 酵素
などを作るためにも使われます。
だからといって、単純に肉やプロテインをたくさん摂ればよいわけではありません。
胃腸が弱っている状態で大量のタンパク質を摂ると、
- 胃がもたれる
- お腹が張る
- ガスが増える
- 食欲が落ちる
といったこともあります。
大切なのは、自分の胃腸で消化できる量を摂ることです。
魚、卵、豆腐、納豆などを普段の食事に取り入れながら、無理なく続けることが基本になります。
タンパク質については、HPの腸にやさしく、体に届く。「本当に効く」たんぱく質の摂り方 ~妊活・自律神経・体質改善のために~でも詳しくご紹介しています。
野菜だけでは美肌は作れない
「肌のために野菜をたくさん食べています」
という方も多いと思います。
もちろん野菜には、
- ビタミン
- ミネラル
- 食物繊維
- ポリフェノール
などが含まれており、大切な食品です。
しかし、サラダだけで肌の材料が十分にそろうわけではありません。
肌そのものを作るタンパク質や、体を動かすエネルギー源となる糖質なども必要です。
野菜中心=健康的とは限らないということです。
ご飯、魚や肉、卵、大豆製品、野菜、海藻などを組み合わせた、昔ながらの食事は非常に理にかなっています。
腸活のために食物繊維を増やしすぎていませんか?
美肌のために「腸活」を始める方も増えています。
そこでよく勧められるのが食物繊維です。
しかし、
「野菜を増やしたらお腹が張った」
「オートミールを食べ始めたらガスが増えた」
「発酵食品を毎日食べているのに調子が悪い」
という方もいます。
腸に良いといわれる食品でも、今の胃腸の状態によっては負担になることがあります。
特に、お腹の張りやガスが強い方ではFODMAPという視点が役立つ場合があります。
詳しくは、FODMAPとは?腸活で知っておきたい「お腹が張る食べ物」の正体をご覧ください。
発酵食品も「食べれば食べるほど良い」わけではない
納豆、味噌、ヨーグルトなどの発酵食品も腸活ではよく使われます。
これらも食生活の一部として取り入れることはできますが、大切なのは食べた後の自分の体の反応です。
例えば、
- ガスが増える
- お腹が張る
- 便が緩くなる
のであれば、「体に良い食品だから」と無理に続ける必要はありません。
腸活とは、健康食品を追加することではなく、自分の腸が正常に働ける環境を作ることだと当院では考えています。
腸と肌の関係については、腸活で肌は変わるのか? ~美肌への近道は「腸を整えること」かもしれません~でも詳しく解説しています。
美肌のためには「排出」も大切
食べることばかりに注目しがちですが、腸では排出も重要です。
便秘が続けば、腸内環境にも影響します。
さらに、腸と肝臓は門脈を介してつながっています。
そのため当院では、
食べる → 消化する → 吸収する → 利用する → 排出する
という一連の流れを大切にしています。
便秘や腸内環境については、子宮筋腫と便秘の関係 ~なぜ腸を整えることが改善への第一歩なのか~でも詳しく説明しています。
子宮筋腫についての記事ですが、なぜ体質改善で腸を整えることを大切にしているのかが分かる内容です。
肌を考えるなら肝臓も忘れない
腸から吸収された栄養素の多くは、肝臓へ運ばれます。
肝臓は、
- 糖質
- 脂質
- タンパク質
などの代謝に関わる重要な臓器です。
さらに女性では、女性ホルモンの代謝にも関係します。
そのため、
腸 → 肝臓 → 栄養代謝・ホルモン代謝 → 肌
という流れで考えることも大切です。
東洋医学では「脾」が肌を養う
東洋医学では、食べたものから「気」や「血」を作る働きを「脾」が担うと考えます。
脾が弱ると、
- 疲れやすい
- 食後に眠くなる
- お腹が張る
- 軟便になる
- むくむ
などの症状が現れやすくなります。
そして、十分に血を作れなくなると「血虚」につながり、
- 肌の乾燥
- 顔色の悪さ
- 髪のパサつき
- 爪が弱くなる
などが現れることがあります。
つまり東洋医学でも、
食事 → 胃腸 → 気・血 → 肌
という流れを非常に大切にしています。
美肌のために、まず毎日の食事を整える
美容というと、何か特別なものを「足す」ことを考えがちです。
しかし、本当に大切なのは毎日の食事です。
例えば、
ご飯+味噌汁+魚や卵、大豆製品+野菜や海藻
といったシンプルな食事でも、肌を作るために必要な栄養を幅広く摂ることができます。
高価な美容食品を毎日食べる必要はありません。
むしろ、
自分の胃腸で無理なく消化でき、毎日続けられる食事
であることのほうが大切です。
当院で大切にしていること
当院では、肌質改善のために特定の食品だけをおすすめすることはありません。
まず、
- 食事量は足りているか
- 糖質を極端に減らしていないか
- タンパク質を消化できているか
- お腹が張っていないか
- 便通はどうか
- 睡眠は取れているか
- ストレスが強くないか
などを確認します。
そのうえで、必要に応じて食事や栄養を見直していきます。
「何を食べるか」だけでなく、「その人が食べたものを使える状態なのか」。
これが体質改善を考えるうえで大切なポイントです。
まとめ
美肌を作るために、特別な美容食が必要なわけではありません。
肌に必要なのは、
十分なエネルギー
+
肌の材料となる栄養
+
それを消化・吸収できる胃腸
です。
そして、腸内環境、自律神経、肝臓、睡眠なども肌とつながっています。
「肌に良いものを何か追加しよう」と考える前に、
毎日の食事をきちんと食べられているか。
食べた後、お腹の調子は良いか。
そして、きちんと排出できているか。
まずはそこから見直してみてはいかがでしょうか。
肌は、毎日の食事と体の状態を映しているものでもあります。
