加工食品が腸内環境に与える影響とは?添加物だけが問題ではありません

前回の記事では、食品添加物について、

「添加物=毒」と考えるのではなく、食生活全体を見ることが大切

というお話をしました。

では、なぜ健康や腸内環境を考えるときに「加工食品を食べすぎないほうがいい」といわれるのでしょうか?

ここで注意したいのは、

加工食品が問題なのは、添加物が入っているからだけではない

ということです。

加工度の高い食品に食生活が偏ることで、食物繊維や微量栄養素の摂取量、糖質や脂質の摂り方、そして腸内細菌に届く栄養まで変わっていく可能性があります。

今回は「加工食品と腸内環境」の関係について考えてみたいと思います。

目次

そもそも加工食品とは?

実は「加工食品」という言葉は非常に広いものです。

例えば、

納豆
豆腐
味噌
ヨーグルト
缶詰
冷凍野菜

なども、食品に何らかの加工を行っているという意味では加工食品です。

そのため、

「加工食品=体に悪い」

という考え方は正確ではありません。

近年、研究でよく使われるようになっているのが、

「超加工食品(Ultra-Processed Foods:UPF)」

という考え方です。

代表的なものとして、

・菓子類
・清涼飲料水
・一部の菓子パン
・インスタント食品
・一部の冷凍調理食品
・加工肉製品

などが挙げられます。

ただし、食品の分類方法によって判断が異なることもあるため、「この食品を食べたらダメ」というための分類ではありません。

重要なのは、

食生活全体の中で、加工度の高い食品がどのくらいの割合を占めているか

という視点です。

腸内細菌は「私たちが食べたもの」で変化する

私たちの腸内には、非常に多くの微生物が存在しています。

そして腸内細菌の状態に大きな影響を与えるものの一つが、

毎日の食事です。

特に重要なのが食物繊維です。

食物繊維の中には、小腸で消化・吸収されず、大腸まで届いて腸内細菌によって利用されるものがあります。

そこで作られる代表的な物質が、

短鎖脂肪酸

です。

酢酸、プロピオン酸、酪酸などが代表的です。

特に酪酸は大腸の細胞にとって重要なエネルギー源となり、腸管の環境やバリア機能を維持するうえでも重要な役割を持っています。

つまり、

腸内細菌にとっても「食事」が必要なのです。

加工食品中心になると「腸内細菌のエサ」が減りやすい

ここで加工食品中心の食生活を考えてみます。

例えば、

朝:菓子パン
昼:カップ麺
間食:お菓子
夜:冷凍ピザ

という食生活だったとします。

エネルギーは十分摂れているかもしれません。

しかし、

野菜
海藻
きのこ
豆類
果物
全粒穀物など

植物性食品の種類が少なくなれば、食物繊維の摂取量も少なくなりやすくなります。

すると、

「自分のカロリーは足りているけれど、腸内細菌に届く食事が少ない」

という状態になることがあります。

腸活というと、

「ヨーグルトを食べる」
「乳酸菌のサプリを飲む」

というイメージが強いかもしれません。

もちろん、それらが役立つ場合もあります。

しかしその前に、

腸内細菌が利用できる食物繊維などを普段の食事から摂れているか

を確認することも大切です。

食物繊維は「量」だけでなく種類も大切

「腸活のために食物繊維を摂りましょう」

と聞いたことがあると思います。

しかし、食物繊維は一種類ではありません。

野菜、果物、海藻、きのこ、豆類、穀類などには、それぞれ異なる特徴を持った食物繊維や、腸内細菌が利用する成分が含まれています。

そのため、

特定の食品だけを大量に食べるより、いろいろな食品を食べる

という考え方が大切になります。

これは腸内環境を考えるうえで、私がとても大切にしているポイントです。

「何を抜くか」だけではなく、

腸内細菌に何を与えるか

を考えてみてください。

添加物そのものが腸内環境に影響する可能性は?

ここで前回の記事ともつながります。

近年、一部の食品添加物と腸内環境との関係について研究が行われています。

例えば、

一部の乳化剤や人工甘味料

などです。

動物実験では、特定の乳化剤によって腸内細菌叢や腸粘膜の状態に変化がみられたという報告があります。

人工甘味料についても、一部の研究では腸内細菌叢や糖代謝との関係が報告されています。

ただし、ここは慎重に考える必要があります。

動物に使用された量と、人間が通常の食生活で摂取する量が同じとは限りません。

また、

「乳化剤」
「人工甘味料」

といっても、それぞれ多くの種類があります。

そのため、

「乳化剤を食べると腸が壊れる」

「人工甘味料を摂ると腸内細菌が悪くなる」

と一括りにすることはできません。

この分野は現在も研究が続いています。

「添加物」と「超加工食品」を混同しない

ここはとても重要です。

超加工食品を多く摂取する人で、肥満や2型糖尿病、心血管疾患などとの関連を示す研究があります。

しかし、

その原因が食品添加物だけにあるとは限りません。

加工度の高い食品を多く食べる生活では、

食物繊維が少ない
エネルギー密度が高い
糖質や脂質の摂取量が増えやすい
食べるスピードが速くなりやすい
植物性食品の種類が減りやすい

など、さまざまな要素が同時に変化します。

つまり、

「超加工食品を多く食べる人で健康上の問題が多かった」

という研究結果を、

「添加物が原因だった」

とそのまま置き換えることはできないのです。

健康情報を見るときには、この違いを知っておくことが大切です。

腸内環境を整えるなら「減らす」だけでは足りない

では、腸内環境を考える場合、どうすればよいのでしょうか?

私は、

加工食品を減らすことだけを目標にしなくてもよい

と考えています。

それよりも、

「加工食品を一つ減らしたら、代わりに何を食べるか?」

を考えてみてください。

菓子パンだけだった朝食に、味噌汁と卵を加える。

インスタント麺だけだった昼食に、わかめや野菜を加える。

夕食に豆腐や納豆を加える。

間食をときどき果物にする。

こうした小さな変化でも、食事の内容は変わっていきます。

完璧な食生活を目指す必要はありません。

日本の食事は腸活と相性がいい

腸内環境を整えようとすると、特別な健康食品を探したくなるかもしれません。

しかし、日本には昔から腸内環境を考えるうえで使いやすい食品がたくさんあります。

例えば、

味噌
納豆
豆腐
海藻
きのこ
野菜
いも類

などです。

ご飯と味噌汁を基本にして、魚や肉、卵、大豆製品、野菜などを組み合わせていく。

そうすると自然に食品の種類が増え、加工度の高い食品だけに偏りにくくなります。

腸活というと新しいことを始めるイメージがありますが、

昔ながらの食事に少し戻していくことも立派な腸活です。

加工食品は「便利な道具」として使えばいい

加工食品を完全に避けようとすると、食生活そのものが大きな負担になってしまいます。

仕事で疲れている日。

料理をする時間がない日。

体調が悪い日。

そんなときに冷凍食品やレトルト食品を利用することは決して悪いことではありません。

問題は、

「加工食品を食べたかどうか」ではなく、それだけになっていないか。

例えば冷凍食品を使ったとしても、味噌汁や納豆、果物などを組み合わせることはできます。

100点の食事を毎日続けるより、

無理なく70〜80点くらいの食事を長く続ける。

そのほうが現実的です。

腸内環境を見ると「添加物だけ避ける」では足りない

添加物を避けているのに、

野菜をほとんど食べない。
海藻やきのこを食べない。
豆類を食べない。
食事量そのものが少ない。

これでは、必ずしも腸内環境にとって理想的とはいえません。

反対に、ときどき加工食品を利用していても、普段の食事でさまざまな食品を食べている人もいます。

だからこそ、

「悪いものを排除する」という考え方だけではなく、「必要なものを入れる」という視点が大切です。

これは腸内環境だけではなく、身体全体を考えるときにも同じです。

まとめ

加工食品について考えるとき、

「添加物が入っているから身体に悪い」

という単純な考え方では十分ではありません。

大切なのは、

食物繊維を摂れているか。
食品の種類が偏っていないか。
タンパク質やミネラルを摂れているか。
加工度の高い食品だけに偏っていないか。

という食生活全体を見ることです。

腸内細菌も、私たちが食べたものによって大きな影響を受けています。

だから腸活では、

「何を避けるか」だけではなく「腸に何を届けるか」

を考えてみてください。

加工食品を完全にやめる必要はありません。

便利なものは上手に使いながら、ご飯、味噌汁、魚、肉、卵、豆類、野菜、海藻、きのこなど、素材に近い食品を少しずつ増やしていく。

その積み重ねが、腸内環境を整える基本になります。

次回は、

「乳化剤は腸内環境に影響する?腸内細菌と腸粘膜から考える」

について、現在分かっている研究と、まだ分かっていないことを分けながら詳しく解説します。

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