食品の原材料表示を見ていると、
「乳化剤」
という表示を見かけることがあります。
乳化剤はパン、お菓子、アイスクリーム、ドレッシングなど、さまざまな加工食品に使用されています。
「乳化剤は腸に悪い」
という情報を見たことがある方もいるかもしれません。
実際に近年、一部の乳化剤と、
腸内細菌
腸の粘液層
腸管バリア
炎症
との関係を調べる研究が行われています。
ただし、ここで注意したいのは、
すべての乳化剤が腸内環境を悪化させると証明されたわけではない
ということです。
今回は、なぜ乳化剤と腸内環境の関係が注目されているのかを、現在分かっていることと、まだ分かっていないことに分けながら考えてみたいと思います。
そもそも乳化剤とは?
水と油を混ぜようとしても、そのままでは分離してしまいます。
そこで使われるのが「乳化」という技術です。
乳化剤には、水と油のように本来混ざりにくいものを均一な状態に保ちやすくする働きがあります。
食品では、
・アイスクリーム
・チョコレート
・パン
・菓子類
・ドレッシング
・加工食品
など、さまざまなものに利用されています。
食品の食感を滑らかにしたり、品質を安定させたりするためにも重要な役割があります。
つまり、
乳化剤そのものが「食品に入れる必要のない毒物」というわけではありません。
食品を安定して製造・保存するための技術の一つです。
なぜ乳化剤と腸内環境が注目されているの?
では、なぜ乳化剤が腸内環境の研究で注目されるようになったのでしょうか。
その背景の一つに、
腸の粘液層
があります。
腸の内側は、単純に腸の細胞がむき出しになっているわけではありません。
その表面には粘液層が存在し、腸内細菌などと腸の細胞との距離を保つ重要な防御機構の一つとして働いています。
つまり腸では、
腸内細菌
↓
粘液層
↓
腸上皮細胞
という形で、細菌と私たちの身体との間に境界が作られています。
この構造が適切に維持されることは、腸管の健康を考えるうえで非常に重要です。
一部の乳化剤で起きた変化
乳化剤と腸内環境の関係でよく研究されているものに、
カルボキシメチルセルロース(CMC)
と
ポリソルベート80(P80)
があります。
動物を使った研究では、これらの乳化剤を摂取させたことで、
・腸内細菌叢の変化
・腸内細菌と腸上皮との距離の変化
・粘液層への影響
・炎症に関連する変化
・代謝異常
などが観察された報告があります。
こうした研究から、
「一部の乳化剤が腸内環境に影響する可能性があるのではないか」
と注目されるようになりました。
腸の「バリア機能」とは?
腸は少し特殊な臓器です。
食べ物を吸収するためには外から入ってきたものを身体の中へ通す必要があります。
一方で、
細菌
毒素
異物
などを何でも身体の中へ通してしまうわけにはいきません。
そこで重要なのが、
腸管バリア
です。
腸の細胞同士は「タイトジャンクション」と呼ばれる構造など
